船転覆「収入全くない」 石川県七尾市の石崎漁港は地震で岸壁が損傷し、漁船が転覆するなど大きな被害が出た。本来は繁忙期を迎える特産のナマコ漁も、再開時期が見通せない事態となっている。 対岸に能登島を眺める穏やかな七尾湾。漁業関係者によると、1日の地震発生後、同漁港では波が何度も満ち引きし、岸壁を乗り越えて、付近の建物一帯を襲った。水産加工業「すぎ省水産」では、事務所の床上まで海水が到達。県漁協七尾支所によると、停泊していた漁船1隻が転覆し、1隻が岸壁に乗り上げた。 岸壁は大きく損傷し、ナマコを水揚げする漁協付近の岸壁も損壊。ナマコ漁が例年1~3月の最盛期を迎える中、約30人の漁師は出港できないままだ。漁師の土倉卓さん(56)は「地震後に一度、海に出たがスクリューにごみが引っかかり、うまく前に進めなかった。潮の流れも速い。海も地震で変わってしまった」とため息をついた。