「姉が、必要ないと手放すことに、私は異論ありません。」 「ファリティナがいつ手放すと言ったんだ。あれ以来、話してもいないのに。」 「あなたが、絶縁の手紙を送った時ですよ。」 「っっ!」 後悔に歪むギデオンを、セリオンが冷たく見た。 「王家はグランキエースを見捨てた。姉はそう言いました。そしてガゼリの権益よりも、まずは私たちが生き抜くことを優先するように言われました。」 「…すまない。そんなおおげさに捉えられるとは思わなかった。」 「そうでしょうね。もう過ぎてしまったことだ。だけど、姉の中で、あの時点で婚約の解消は視野に入っている。その上で、グランキエースの有利になるようにやってくれと託されました。」 私を切り捨てることを躊躇しないで。そんなことをするくらいなら、グランキエースが少しでも良い条件で生き残れることを考えて欲しい。 いつから気づいていたのだろう。 グランキエースが張りぼてだと。