このテクストは、2018年11月3日にNADiff a/p/a/r/tで行われた「上妻世海『制作へ』刊行記念トークイベント」での発表をまとめたものです。上妻世海『制作へ』の表題論考「制作へ」を、主に言語の問題に焦点をあてて整理した上で、その背景にあるだろう史的文脈や、密に関連すると思われる議論群を記述していくことで、上妻的〈制作〉論をさらに多角的かつ厚みあるものとして使用可能にすることを目指しています。 目次 Abstract 1.「制作へ」における言語 A. 三種の「よって」 B. 言語 C. 「感覚的で身体的な現象」としての言語 D. テクストの制作と私・身体・五感の組み換え 2. 非人称的空間 —— 宮川淳 A.〈鏡≒本の空間〉 B. 史的背景 〈反芸術〉 鏡と影 空白な空間を満たさずにはいられないわれわれの営為 C.〈非人称的空間〉の作家 無名の眼 素材としての〈非人称的空間〉 D