© Getty Images ※画像はイメージです 研究の背景:HPVワクチンの安全性の議論は決着したのではなかったか 前回は、福島第一原発事故と先天性心疾患の関連を示唆した論文を批判的に吟味した。 このような研究はゼロベースでやるのが重要である。最初から派閥的に「原発推進派」「反原発派」みたいな「立場」をつくり、自らの主張をサポートするような形... …続きを読むにはログイン
相次ぐ不祥事、コロナ変異株拡大、届かぬワクチン。このままで本当に東京五輪は開催できるのか。神戸大学大学院教授で医師の岩田健太郎さんに話を聞いた。 テレビを見ていて信用できないと思う人1位は? * * * 現状を考えると、私は東京五輪を開催しないほうがいいと思います。 仮に開催する場合、日本に今存在しない新型コロナの変異株の海外からの流入と、その全国への拡散という二つのリスクにどう対処できるかがポイントです。 IOC委員やスポンサー、メディアなど海外から渡航する五輪関係者が、アスリートに課せられたのとまったく同じ条件で厳しい隔離対策や繰り返しのPCR検査をすべて順守するのであれば、外からの持ち込みはかなりの確率で防げるとは思います。ただ、フランスでPCR検査をすり抜ける新型コロナが出ているので、この影響がなければという留意点はあります。 さらなる問題は、全国から集まるスタッフとボランティ
◆感染研が発表したデータを読み解く◆ 本稿執筆時点で、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者約3700人のうち、感染者は706人となりました。(https://www.youtube.com/watch?v=DiR0Nkl-F6g) クルーズ船は閉じられた空間で長い間、人が同居するため、昔から感染に弱いと考えられてきました。呼吸器感染や下痢症のアウトブレイクが起きてきました。しかし、これほどの規模の感染アウトブレイクは人類史上初と言えましょう。感染症学や疫学の教科書にも記載されるであろう、大事件でした。 検査をするたびに何十人もの方が陽性になるので、クルーズ船内の感染対策がちゃんと行われていないんじゃないの?という懸念が起きていました。それに対する回答の一つが、国立感染症研究所(感染研)からなされました。2月19日のことです。 すべての感染症には潜伏期間があります。新型コロナウイルスの場合は、
新型コロナウイルスの集団感染が確認され、横浜港に着岸中だったダイヤモンドプリンセス号に乗船した神戸大学教授の岩田健太郎氏と、橋本岳厚生労働副大臣の見解の相違が話題となっている。 岩田教授の乗船について橋本副大臣が「私の預かり知らぬところで立ち入られた」「お見掛けした際に私からご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確なご返事がなく、よって丁寧に船舶からご退去をいただきました。」とツイッターに投稿したところ、岩田教授は「橋本岳さんにはお目にかかっていません。」「橋本岳さんという方が存在することも今朝初めて知りました」と自身のツイッターに投稿し橋本副大臣の投稿を真っ向から否定したのだ。 お見掛けした際に私からご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確なご返事がなく、よって丁寧に船舶からご退去をいただきました。多少表情は冷たかったかもしれません。専門家ともあろう方が、そのようなルートで検疫中の船舶に侵入
The Genecialist Manifesto ジェネシャリスト宣言 「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,"ジェネシャリスト"という新概念を提唱する。 【第2回】 二元論の克服――ヘーゲルとマルクス 岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科) (前回からつづく) ま,タイトルでドン引きしないでくださいね。ぼくは哲学も経済学も素人なので,あくまで素人流の解釈です。 結論から言うと,ヘーゲルもマルクスも二元論を克服しようとしてある程度成功し,そして失敗した,というのがぼくの解釈だ。 ヘーゲルはある命題(テーゼ)と反命題(アンチテーゼ)の「どちらか」という議論で終わらず(これが二元論),両者を統合するかたちで新たなる命題(ジンテーゼ)をもたらした。そのプロセスをアウフヘーベンと言ったわけである。日本語では止揚,なんてワケワカンナイ
【識者の眼】「ワクチンの楽観、変異株の悲観」岩田健太郎 No.5068 (2021年06月12日発行) P.59 岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授) 登録日: 2021-05-31 最終更新日: 2021-05-31 日本では予防接種の規模を拡大したり、スピードを上げたりという歴史を殆ど持たない。日本の予防接種制度は「仕組み」を役人が作り、あとは自己責任でやってくださいね、という非常に消極的なものだったのだ。しかし、五輪を目前に控え、ワクチンがほぼ唯一のゲームチェンジャーであることが明らかになり、五輪開催までには死亡リスクの高い高齢者のワクチン接種をできるだけ進めたい、という明確な意図が定まり、その意図から逆算されてスピードアップの施策が全方向的に行われている。従来、役所は一度作った書類を訂正するのに多大な努力と無意味な時間を浪費していたが、ワクチン接種のスピードを落とす
横浜港に停泊している大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号。乗客の下船が始まっている (c)朝日新聞社この記事の写真をすべて見る 衆院予算委員会で答弁する小泉進次郎環境相 (c)朝日新聞社 衆院予算委員会で答弁する森雅子法相 (c)朝日新聞社 クルーズ船の感染症対策の問題点を指摘する岩田健太郎・神戸大教授のツイッター 新型コロナウイルスへの政府の対応を巡り批判が相次いでいる。小泉進次郎環境相と森雅子法相、萩生田光一文部科学相が、対策会議より私的な会合を優先させていたことが、国会の審議で発覚。多数の乗客が感染した大型クルーズ船についても、専門家が問題点をネットで告発した。 【写真】クルーズ船の感染症対策の問題点を指摘する岩田さん 政府は適切な対応をとっているとPRに必死だが、国内の感染者は増え続けており、信頼回復は難しそうだ。 政府の第10回新型コロナウイルス感染症対策本部の会議が、2月
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