もはや、少しはにかんだ「令和おじさん」の面影はない。「仕事人内閣」を剛腕で動かす筋肉質があらわとなってきた菅義偉首相(71)を心配げに見つめるのは、法政大の同窓で元参院議員の平野貞夫さん(84)。後輩が率いる内閣を「カムフラージュ内閣」と一刀両断するのは、「桜を見る会」を検証しようとしないうやむやな態度を見かねただけではないらしい。 取材で訪れた自宅のテーブルには、菅政権への意見をまとめた手書きの紙が束になって積まれている。小沢一郎氏に政策提言し「知恵袋」と呼ばれた平野さんは、国会事務局で33年間、参院議員として12年間を過ごした。永田町を知り尽くした平野さんはまず、菅首相が師と仰ぐ元官房長官、故・梶山静六氏との政治改革を巡る思い出を披露し、古い手帳を開いた。