イノベーション(技術革新)をキーワードに、東日本大震災の被災地を復興させよう――。そんな構想が福島県で進んでいる。沿岸部(コースト)の各自治体には、最先端の技術を駆使した拠点施設がずらりと並ぶが、地元産業界の受け止めは冷ややかだ。なぜ、国と県肝いりの事業は地域に歓迎されていないのか。【春増翔太】 「地元のためという発想は…」 福島県南相馬市の海沿いに、滑走路や巨大な屋内水槽を備えた「福島ロボットテストフィールド(RTF)」が広がる。国と県が被災地で進める「イノベーション・コースト構想」の事業費156億円を投じ、2020年3月に開所した。「ロボット産業の集積や人材育成に取り組む拠点」として東日本大震災からの復興をうたう。 元々、金属加工や機械製造が盛んな同市では、震災後に地元の製造業者らが「ロボットのまち」を掲げた取り組みを始めていた。そうした場所に設けられたRTFは、ドローンや災害救助ロボ