《日本の自殺死亡率は、G7のなかでワーストである。厚生労働省によれば、長らく十代~30代の若者における死因の1位が自殺であり、40代でも2位、50代前半でも三位に入る。どうして日本ではここまで自殺が多いのだろうか……。 自殺予防に詳しい精神科医・河西千秋氏は『Voice』8月号にて掲載された「コロナとの闘い、自殺対策を急げ」にて、その2つの理由を挙げている。本稿では同稿の一部を紹介する。》 本稿は月刊誌『Voice』2020年8月号より一部抜粋・編集したものです。 自殺者数が遅発的に増加していく懸念 今年(2020年)4月の自殺者数は前年同期比で大幅減少し、過去5年間で最少になった――。この報道を耳にして意外に感じた読者も多いのではないだろうか。 厚生労働省の発表によると、国内における4月の自殺者は、前年4月から18.9%減少の1455名。外出自粛や在宅勤務の推奨により、職場や学校での対人