東京電力福島第1原発事故による避難者に対する賠償を巡り、東電が既に判明していた社員だけでなく、社員の家族にも、いったん支払った賠償金の返還を求めていることが分かった。家財道具などを取りに戻るため、転居前の住宅に一時的に帰宅するための費用も含め、一家で3000万円を超えるケースもあり、生活に大きな不安を抱えている。識者は「家族は原発事故の加害者ではなく、返還請求に妥当性はない」と批判している。【高島博之、神足俊輔】 【1千万円超の返還求められるケースも】東電:社員に賠償金返還を要求 関係者によると、ある男性社員は事故前、妻と子供2人の4人で、帰還困難区域(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)の借家に暮らしていたが、2011年3月の原発事故から数カ月後、同区域外の借家に引っ越した。 賠償金は、国の指針に基づき、東電が避難者に精神的損害(月10万円)などを3カ月ごとに支払っていたが、同区域