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昨日、高市早苗内閣が発足したのと同時に、こういうニュースが流れて、労働界隈に波紋を投げかけたようです。 高市早苗首相、労働時間規制の緩和検討を指示 厚生労働相らに 高市早苗首相は21日、現行の労働時間規制の緩和検討を上野賢一郎厚生労働相らに指示した。新閣僚への指示書に「心身の健康維持と従業者の選択を前提」としつつ「働き方改革を推進するとともに、多様な働き方を踏まえたルール整備を図ることで、安心して働くことができる環境を整備する」と明示した。 2019年に施行した働き方改革関連法は、残業時間の上限を巡り原則として月45時間、最大でも100時間未満、年間では720時間と定める。違反した場合は罰則がある。施行から5年を過ぎた時点で見直すことを定めており、厚労省の審議会で労使の代表による議論が本格化している。今後の見直し論議に影響を与える可能性がある。 7月の参院選で、自民党は公約に「個人の意欲と
最近、書いた覚えのない本がやたらに引用されるという経験が増えているのですが、またまた書いた覚えのない本が出てきました。 リベラリズムの寄生構造という不都合な真実 このnoteの中に、連合を批判する文脈でこんな一節が書かれているのですが、 ■ 2:労働運動とリベラル政治の堕落 戦後労働運動を主導してきた日本労働組合総連合会(連合)は、設立当初(1989年)こそ「働く者の福祉国家」を掲げた。 しかし21世紀以降、組織維持を優先する官僚化が進み、政策的にも企業寄りの中道路線へと傾斜した。 とくに外国人労働者の受け入れ拡大政策(2018年入管法改正以降)に対して、 連合は表向き「労働者保護」を主張しながら、 実際には人手不足対策として容認姿勢 を取った。この立場は、「労働者の権利保護」よりも「雇用流動性の維持」を優先する結果を招いた。 労働社会学の分析(濱口桂一郎『日本の労働組合』岩波書店, 20
例によって、ソーシャル・ヨーロッパから興味深い記事を紹介します。ヘニング・マイヤーの「From Surveillance To Sedation: The Rise Of Blue Pill Capitalism」(監視から鎮静へ:ブルーピル資本主義の興隆)というエッセイです。 https://www.socialeurope.eu/from-surveillance-to-sedation-the-rise-of-blue-pill-capitalism We are witnessing a disturbing evolution in digital capitalism—from harvesting our data to trapping us in fantasies that profit from our isolation. 私たちは、データの収集から私たちの孤立から
少し前まで、連合切れ斬れ症候群は立憲民主党の主観的には中核支持者である左派系思想的支持者層に(とりわけ連合会長が共産党を批判するたびに定期的に観察される)顕著に見られる現象だったけれども、最近急に膨張した国民民主党の新参のしかし主観的には中核支持者である右派系思想的支持者層にも、ほぼ同種の現象が顕著に見られるに至ったことは、政治心理学的に見て大変興味深い現象ですね。 多分そうした主観的中核的支持者の脳内では、エコーチェンバーで自分の眼に入ってくる自分好みの見解だけがこの社会の圧倒的多数派に見えているので、連合などというたかが利益集団に過ぎぬ労働組合如きに政策が引っ掻き回されるのが我慢できないのでしょうが、まあ確かに組織率も低迷し続けて力が弱っているとはいえ、それこそたかがメディアやネットの吹き抜ける風の勢いだけで膨らんでみただけのふわふわした「中核的支持者」に比べれば、はるかに頑丈な票田で
去る(昭和100年)10月10日に、公明党が連立離脱するという激震が走り、同日には石破首相の戦後80周年所感が公表されるという騒ぎの中で、もはやほとんど忘れられつつありますが、10月7日の連合定期大会に石破首相が招かれて挨拶をしていて、その中で最低賃金だけではなくストライキの話をしていたんですね。 https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202510/07rengou.html?s=09 ・・・私は三島由紀夫という小説家がすごい好きで、学生の頃からよく読んでいたのですが、『絹と明察』という小説を御存じの方もあるかもしれません。昭和30年代の小説です。1954年、昭和29年に、近江絹糸の労働争議というのがありました。ここは初めての人権争議というものでございました。この争議において、女子従業員の方々が外出、結婚、教育の自由がないというような労務管理が行わ
ひさしぶりにソーシャル・ヨーロッパから、政治評論のエッセイを。ポピュリズムが荒れ狂っているヨーロッパがもはや対岸の火事ではなく他山の石ですらなく、当の日本でも炎上しつつある今日、改めてじわじわとくるものがあります。 The “Deliveroo” Theory of Politics ちなみに、デリバルーとは、日本ではやってませんが、ヨーロッパではウーバーイーツと並ぶフードデリバリーの大手企業です。英語の「deliver」(成果を出すと言う意味がある)とかけているわけです。 Why are citizens of free countries increasingly disenchanted with democracy and tempted to vote for populists and authoritarians? Peruse the press or spend an a
本日、連合の第19回定期大会のレセプションに顔を出した後(ちなみに、現下の政治情勢下で、各政党の代表がどんな挨拶をするか楽しみにしていたのですが、それはなしになったようです。やっぱりね)、書店で是川夕さんの『ニッポンの移民——増え続ける外国人とどう向き合うか』(ちくま新書)と、移民の特集を組んでいる『世界』11月号を買って、さっそく読ませていただきました。 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480077103/ 是川さんの本は、外国人問題を努めて冷静に、客観的にとらえようとする姿勢が一貫しており、とくにこれまで「移民政策の不在」とまで言われてきた日本の外国人政策について、結果としてむしろかなりいい線を言っていたのではないかという積極的な評価をされています。 実を言えば、結果的にかなりうまくいったという評価にはそれほど異論はないのですが、そ
本ブログではこれまでも何回も書いてきたことですが、安倍政権以後の自民党は小泉政権時の全面リベラルから、その側面を維持しつつ徐々にソーシャルの傾向を強めてきていました。安倍首相辞任時に書いたこれがそれを端的にまとめていますが、 半分ソーシャルだった安倍政権 本日突然安倍首相が辞意を表明しました。政治学者や政治評論家や政治部記者のような話をする気はありませんが、労働政策という観点からすれば、14-13年前の第一次安倍政権も含めて、「半分ソーシャル」な自民党政権だったと言えるように思います。半分ソーシャルの反対は全面リベラルで、第一次安倍政権の直前の小泉政権がその典型です。(本ブログは特殊アメリカ方言ではなくヨーロッパの普遍的な用語法に従っているので、違和感のある人は「リベラル」を「ネオリベ」と読み替えてください) 安倍政権は間違いなくその小泉・竹中路線を忠実に受け継ぐ側面があり、労働市場の規制
自民党の総裁選で、林官房長官が靖国神社のA級戦犯分祀に言及したというニュースが流れてきたので、 靖国神社「A級戦犯」分祀、林氏「わだかまりなく手を合わせることができる環境作る」…高市氏は否定 自民党総裁選に立候補した林芳正官房長官は28日のフジテレビ番組で、靖国神社に 合祀ごうし されている極東国際軍事裁判(東京裁判)の「A級戦犯」の 分祀ぶんし に言及した。中曽根康弘元首相が過去に分祀に取り組んだとし、「皇室を含め、わだかまりなく、手を合わせることができる環境を作るのは政治の責任だ」と語った。 再度これを再掲しておきたいと思います。 法政策としての靖国問題 いや、別にヒートアップした論争に加わろうなどという気はありません。ただ、法政策として見たときに教訓になることがあるように思われるので、その点だけ。 言うまでもなく、靖国神社は戦前は陸海軍管下の別格官幣社で、内務省管下の一般の神社とは異
先日のこのエントリの問題に関わって、 発言と解雇 言葉の正確な意味での、真正の人文知識人というべき人による、こういうつぶやきが聞こえてきました。将基面貴巳さんの言葉です。 自分の信念や良心に基づいて発言した結果、大学や学校の教員が次々と解雇されていると、アメリカの研究仲間から悲鳴が聞こえてくる。暴政が猛威を振るい出すと、「発言」は危険極まりなく、「離脱」という選択が現実的に不可能であれば、「国内亡命」という20世紀ドイツ知識人を悩ませた選択肢しか残されないことになる。これは日本の有権者にとって対岸の火事だろうか。 現代アメリカの危機はマッカーシズムの場合と同日の談ではない。マッカーシズムは上からの運動にすぎず、大学でも(脆弱な)学問の自由を守り抜くことができた。トランプの時代では、上からの圧力だけでなく草の根の共鳴盤が大きく広がっている。「国内亡命」することで嵐が去るのを待つという消極的態
言うまでもなく、強大な帝政ロシアにおいてボリシェビキは(メンバーがときどき流刑に処される)ごくごく弱小なイデオロギー集団に過ぎませんでしたが、そいつらが(ソヴィエトを僭称して)すべての権力を手中に収めた時に何が起こったのかという近現代史の悲劇の全ての根源が、この一見チンケなやり取りの中に埋め込まれていることを、近現代史をまともに学んだ人はすべて理解するでしょう。 ネトウヨからスマホを取りあげて、「移民を受け入れるんじゃない、お前が移民になるんだよ」と言って聞かせて、タンザニアの鉱山に流すというのはどうだろう。 なぜ流刑に処されねばならんのだ そういえば板垣センセもネトウヨでしたね。 ネトウヨという概念が広すぎて なぜ「ネトウヨ」に認定されただけで具体的に何か悪いことをしたわけでもないのに流刑&強制労働のコラボを受けなければならないのか、これは論者が暗黙裡に「ネトウヨ=とんでもない犯罪者」と
弁護士の堀新さん曰く: 自分が若い頃は、実現可能かどうかはともかくとして 「全ての国家権力は本来は悪である 国家のない世を目指したい」 「政治や権力のない社会がいい」 みたいな言説があった でも考えてみれば、逆説的だけど国家や政治や経済が安定的でないと、人はそういうこと言う気分にはならないよね そういうアナルコな感覚の人々と本ブログ上で論戦した思い出を再掲 警察を民営化したらやくざである リバタリアンと呼ばれたがる人々はどうしてこうも基本的な社会認識がいかがなものかなのだろうかと思ってしまうのですが、 http://d.hatena.ne.jp/kurakenya/20100818(警察を民営化したならば) 警察とは一国の法システムによって暴力の行使が合法化されたところの暴力装置ですから、それを民営化するということは、民間の団体が暴力行使しても良いということを意味するだけです。つまり、やく
脳みそのいささか足りない「せいぎのみかた」が、正義のキャンセルハンマーを振り回して、「ぼくのかんがえたわるいやつら」を叩き潰すのに手続的正義などという寝ぼけた古道具は要らないんだ、「わるいやつら」は問答無用でキャンセルすればいいのだ、という実例をうんざりするくらい見せてくれた挙げ句に、その「わるいやつら」の方が、さらにブラッシュアップされた高邁極まる正義感に満ち溢れながら、ついさっきまで正義のキャンセルハンマーを振り回していた自称「せいぎのみかた」を、「このうえないわるいやつら」として、さらに切れ味の鋭い一撃必殺のキャンセルハンマーで次々に叩き潰し始めるという、この世の悲喜劇を体現するような事態が進行している中で、その当事者たちはこの悲しき構造をこれぽっちも理解することができず、それをさらにもっともっと昂進させろと雄叫びを上げる姿。 <産経抄>カーク氏暗殺で嘲笑者解雇相次ぐ 米国の明快さが
いうまでもなく、労働者性の問題は労働法の世界で焦点の一つとなっている最重要課題ですが、そこに今までどの研究者も唱えたことがないと思われる独自の見解を投げ込んできた非営利法人があるようです。既に本ブログでも取り上げてきている当該非営利法人に雇用されていた職員の解雇事案をめぐる裁判に、当該非営利法人が提出してきた被告準備書面のなかに、その独自の見解が明記されています。 当該非営利法人に解雇された職員であった神谷貴行さんのブログに引用されているその見解とは: 「ぼくがかんがえた さいきょうの ろうどうほう」は社会では通用しない 原告は、『被告らは、被告準備書面(1)2頁(1)アにおいて、原告の労働者性を正面から認めた』などと主張する。しかし、被告らが被告準備書面(1)2頁(1)アで認否したのは、形式上「雇用契約の締結」を認めたに過ぎず、それをもって、ストレートに原告の「労働者性を正面から認めた」
先週予告していた『季刊労働法』2025年秋号(290号)は、「非正規公務員制度を問う」が特集で、日本労働弁護団の弁護士たち(城塚健之、岡田俊宏、市橋耕太、平井康太、青柳拓真)による立法提言の解説に、行政法学者の下井康史さん、ご存じ非正規公務員問題の伝道者上林陽治さん、人事院から京都大学に移った嶋田博子さんによる論説という充実した特集になっています。 特集 非正規公務員制度を問う―立法提言を基点とした横断的考察 非正規公務員をめぐる議論の推移と本特集の趣旨 金沢大学准教授 早津 裕貴 日本労働弁護団 非正規公務員制度立法提言について―公務員法研究会を受けて― 弁護士 城塚 健之 弁護士 岡田 俊宏 弁護士 市橋 耕太 弁護士 平井 康太 弁護士 青柳 拓真 日本労働弁護団「非正規公務員制度立法提言」における行政法上の問題点 千葉大学教授 下井 康史 非正規公務員制度改革の実効性評価 ―日本労
キャンセル狂騒曲が荒れ狂う今日、こたつぬこ(木下ちがや)さんが一昨年のツイート-『世界』誌に載った桐野夏生さんの文章の紹介ーを再掲していました。 KADOKAWAの出版中止事件についてこれを予告するような論文が半年前に発表されていました。桐野夏生『大衆的検閲について』(雑誌『世界』2023年2月号)です。 示唆に富む内容なので、以下に要約と引用を連投します。「」内は引用となります。 この件は大いに議論がなされるべきです。その一助になれば 【注記】この論文については、「人は自らがそうありたい性や性関係でありうる社会を目指す」という「方向性」(「正しさ」ではない)は前提にして読んでほしい。問題の焦点は言論空間そのものにあります。 桐野夏生「大衆的検閲について」 この論文は、2022年11月にジャカルタで開催された国際出版連合大会における桐野の基調講演がもとである。 桐野はジャカルタにゆかりのあ
アメリカでこんなことが起こっているようですが、 「チャーリー・カーク氏暗殺」を嘲笑した者たちが相次ぎ解雇…深まる米国の分断 英紙ガーディアンは13日(現地時間)、SNSでチャーリー・カーク氏の銃撃事件を蔑視し嘲笑した人々が相次いで解雇されていると報じた。教師や公務員、消防士だけでなく、大統領の警護を担当する大統領警護隊(シークレットサービス)の職員も、カーク氏の死を嘲笑する投稿をした後に解雇された。「カーク氏の死は神の贈り物」「カーク氏の訃報が私の人生を輝かせた」「自業自得」などの投稿をしたことが理由だった。 民間企業もカーク氏を嘲笑した社員を懲戒したり解雇したりし始めた。アメリカン航空とデルタ航空はこの日X(旧ツイッター)に「いかなる種類の暴力にも反対する」とし、カーク氏の死を嘲笑したパイロットと乗務員に停職処分を下したと明らかにした。北米で最高の人気を誇るスポーツ、米プロフットボールリ
大学入試を受験して合格して入学を辞退しても高額な入学金を払わされるのは日本だけだ、という批判の声があるようです。 日本だけが異常すぎる大学入学金制度 まことにもっともではありますが、でもなぜそんなことになっているかといえば、そもそも圧倒的に多くの日本人が、すなわちその大学受験生もその親も、なにより彼らが将来就職するであろう会社の人々も、そしてそれを当然の前提としている大学の経営者たちも、みんな揃って、大学に関して意味があるのは入学した後で学んで身につける個別分野の具体的な知識技能などではなく、入学試験に合格することによって証明されるところの一般的な「能力」(頑張れるチカラ)であると考えているからでしょう。 大学という産業の最大の売り物が何であるかというと、ジョブ型雇用社会においては、個別分野の具体的な知識技能を付与すること、より正確にいえば卒業証書という形で「こいつにはこれこれのスキルがあ
本日、小泉進次郎氏が自民党総裁選への出馬の意向を固めたと報じられています。 小泉進次郎氏、自民総裁選に立候補の意向固める 来週会見で調整 小泉進次郎農林水産相(44)は12日、自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)に立候補する意向を固め、周囲に伝えた。13日に地元の神奈川県横須賀市で支援者と意見交換し、来週中に記者会見を開く方向で調整している。 こうなると、昨年の総裁選で失速した原因ともいわれている「解雇規制」問題について、総裁選直後に『中央公論』12月号にわたくしが寄稿した文章をじっくりと読んでいただくことが重要なことではないかと愚考し、一年近く経った文章ではありますが、ご披露申し上げておきたいと思います。 政治家もメディアも解雇規制を誤解している-問題は法ではなく雇用システム@『中央公論』2024年12月号 去る9月27日に自由民主党の総裁選挙で石破茂氏が総裁に選出され、10月1
ちょうど絶好の二つの考え方が出ていたので、 会社に入るときに、「お金がもらえる」っていうマインドでいるといつまで経っても労働者から抜け出せなくなる。 所属するコミュニティー(会社や企業含む)に価値を提供し、その対価を受け取るという風に考えて行った方がいい。 むしろ最近は「価値の提供」にフォーカスしすぎて「労働者」で居たい人にとってすごく息苦しいと言うか働きにくい世の中だなぁと感じる。 大半の人間はそんなに意識高くなくて、 「ただ言われたことをやって食うに困らない給料がもらえればいい」 程度だと経営者も学んだ方がいい。 はい、ここには、最も典型的なメンバーシップ型の発想と、最も典型的なジョブ型の発想とがよく現れているのですが、さて、どちらがメンバーシップ型で、どちらがジョブ型でしょうか? もちろん、物事をちゃんとわかっている人は、何の迷いもなく前者が、すなわち単なる労働者として民法の規定する
まだ書店に並んではいませんが、岩波書店の『世界』2025年10月号が届きました。 https://www.iwanami.co.jp/book/b10145462.html 【特集1】働き続ける私たち もう働けない。いつまで働けるだろう。 自転車を漕ぎながら、実家と職場を行き来しながら、自分の体調と向き合いながら、日々感じている人がいる。 年金、また貯蓄が増えることが見込めないなかで、より長く働く時代はもうやってきている。 「普通」とされてきた労働のありかたをどのように変えれば、これ以上、すり減らずにいられるのだろう。 「働き続ける私たち」という特集に、玄田有史さんの「70歳でも働く社会」、田中洋子さんの「短時間正社員」等と並んで、わたくしは「女性「活躍」はもうやめよう」といういささか刺激的なタイトルの文章を寄稿しております。 これ、実は、最初は編集部の依頼にあったとおりに「女性が働き続け
最近の右翼界隈の動向を見るにつけ、明治から昭和、戦前戦後を通じて、軍事的か経済的かの違いはあれ、いずれにしろ狭い日本にゃ住み飽きた、外国に雄飛するぜ、大日本帝国、大東亜共栄圏、世界に冠たる経済大国ニッポン等々と、拡大志向の大国ナショナリズムが右翼界隈のベーシックな感覚であり、それにいじけた感覚でちまちまとケチをつけるのが左翼界隈(とりわけ辺境最深部に退却したがるドロサヨ)であったことを考えると、ものの見事にそれが逆転してしまっていることに、いまさらながら嘆息を禁じ得ない。 大きく大きく大きくなあれ、大きくなって天まで届け!という拡大志向の大国ナショナリズムが右翼界隈から雲散霧消し、小さく小さく小さくなあれ、小さくなって蟻さんになあれ!という収縮指向の小国ナショナリズムがここまで制覇するに至ったというのは、この間の日本経済の没落ぶりを考慮に入れても、いささか急激に過ぎませんかね。
『労働新聞』の書評、今回は内務省研究会編『内務省』(講談社現代新書)です。 https://www.rodo.co.jp/column/204674/ 新書としては異例の550頁を超える分厚さで、オビの惹句に曰く、「なんだ?この『怪物』は…現在の警察庁+総務省+国土交通省+厚生労働省+都道府県知事+消防庁…」。戦前存在した巨大官庁を、総勢25人の研究者たちが、通史とテーマ別とコラムを分担執筆した本格的歴史書だ。比類ない巨大官庁でありながら、2度の被災に加えて敗戦前の資料焼却、戦後の解体といった事情から、内務省については資料的制約が大きいため、日本近代史には必ず出てくる登場人物なのに、主人公にした著作は極めて少ない。私も、戦前の労働行政史ではその主役は内務省社会局なのに、社会局以外の内務省のことはよく知らなかった。 内務省のコアに当たるのは地方行政と警察行政だ。前者は藩閥政府による選挙干渉か
例によって労働史オーラルヒストリーのシリーズを梅崎、南雲、島西トリオからお送りいただきました.今回は『高橋俊介オーラル・ヒストリー』です。 高橋俊介さんという方は、私は『成果主義』等の本でしか存じ上げなかったのですが、なかなか面白い経歴なんですね。東大で航空工学を学んだ後なぜか国鉄(JRの前の公共企業体時代)に入り、動労との労使交渉の薄暗い裏舞台とかも垣間見て、プリンストンに留学して、国鉄を辞めちゃった。辞めるときに、当時の秘書課長の井出さん(国鉄改革三羽がらすの一人で後にJR西日本社長)が激怒したエピソードが紹介されてます。「会社を途中で辞めるヤツなんて許せない」と。これってちょうど、三羽がらすで国鉄改革の陰謀をめぐらしていた頃ですね。 その後マッキンゼーで大前研一に鍛えられ、パリバを経て、ワイアットカンパニーで人材マネジメントのコンサルとして名を上げていきます。この頃から本をたくさん出
海老原嗣生さんより『「就職氷河期世代論」のウソ』(扶桑社新書)をお送りいただきました。 https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594101091 “見捨てられた1700万人”はそこまで悲惨ではなかった――。 現在40~50代となった「就職氷河期世代」(1993~2004年卒業)を、雇用のプロが現場経験とデータで徹底検証。 既にビジネス誌や経済社会番組「PIVOT」「ReHacQ」などで氷河期世代論争を引き起こしている筆者が、炎上覚悟で世に問う。 <本書の内容の一部> 2025年夏の参議院選挙でも各党がアピールする、就職氷河期世代の支援策。だが、筆者は「現実を無視して“世代”で括ることは、政策をゆがめる」と批判する。 ・「多くが就職できず、熟年非正規があふれ、貧困で年金も少なく、国に見捨てられた…」という氷河期世代イメージは、誇張である。 ・氷
連合が、参院選の総括原案で、支持政党のはずの立憲民主党・国民民主党の消費税減税公約を批判するとともに、 連合の参院選総括原案、立民・国民の消費税減税公約を批判…議席伸び悩んだ立民は「党存続の危機」 芳野会長が石破首相の賃上げ発信に対しては「評価に値する」と評したそうですが、 連合・芳野会長、石破首相の賃上げ発信「評価に値する」 いやまあ、世界の政治の常識からすれば、それはそうやろなあ、という感想しか漏れてきませんがな。 再三再四 賃上げ与党に減税野党という構図でいいのかね? なんにせよ、野党が減税ポピュリズムに突進する一方で、与党は賃上げを旗印に掲げるようで、まことに西欧の政党政治を見慣れた目には、賃金労働者の支持を背景にした社会民主主義勢力対お金持ちの支持を背景にした自由主義勢力の、きれいな対立図式にはまり込んでしまっておりますな。ほんとにそれでいいのかね。 というか、もちろん、それでは
なぜか日本のマスメディアは全く伝えないのですが、今韓国では「黄色い封筒法」と呼ばれる労働組合および労働関係調整法改正案が、明日にも国会で可決されるのではないかと大騒ぎになっているようです。 <韓国労組法改正案秒読み>すでに10大グループ中9グループが下請け労組のターゲットに <韓国労組法改正案秒読み>「下請けのストで元請け大企業に契約切られるかも」…中小企業の悲鳴 この記事の説明によれば、この改正案の主眼は、雇用関係のない元請け企業に、下請企業の労働者の労働組合に対する使用者としての責任を負わせる内容のようです。 ◇黄色い封筒法とは 労働組合および労働関係調整法改正案。使用者の範囲を「勤労契約を結んでいなくても労働条件に対して実質的・具体的に支配・決定できる者」と再定義して下請け労働者に対する元請けの責任を強化する内容が核心(労組法2条)。ストの過程で発生した損失に対し労働者個人や労組に対
昨日、長引いていた中央最低賃金審議会の目安決定がようやく決着したようですが、その最後の局面では、新聞報道によると「政治」の介入があったようです。 赤沢氏の「尋常じゃなかった」介入 最低賃金「6.0%」の舞台裏 6.0%という数字は、ある人物によって一蹴され、漂流しかかっていた。 「6.0%ちょうどなんてないだろう。全然ダメだ。もう一声。これは政治判断なんだ」 最低賃金の目安を決める厚生労働省の審議会が今年4回目の審議を終えた翌日、7月30日だった。ひそかに永田町の中央合同庁舎8号館を訪れた厚労省幹部を前に、「賃金向上担当相」を兼務する赤沢亮正経済再生相が言い放った。・・・ 最低賃金の目安は、労使の代表と公益代表の有識者で構成する中央審議会が毎年決める仕組みだ。赤沢氏に決定権はない。だが、公益代表をサポートする立場から労使の調整に入っていた厚労省側が示した内々の「6.0%」に赤沢氏は「6%台
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