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河野龍太郎の検索結果1 - 40 件 / 99件

  • コラム:所得再分配、なぜ日本でも急務なのか=河野龍太郎氏

    5月30日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、経済成長以前の問題として、労働力・納税者の減少によって社会制度存続が脅かされている日本において、所得分配問題は喫緊の課題だと指摘。写真は都内で2015年3月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino) [東京 30日] - 経済成長が先か、所得分配が先か――。この問いへの経済学的な回答は明らかであり、前者が先である。つまり、資源配分の効率性を高めて、1人当たりの経済成長を促し、経済全体のパイを拡大した上で、所得分配を行えば、一国全体の経済厚生を高めることができる。 もし、先に所得分配を行って、資源配分の効率性を損なえば、経済成長につながらないばかりか、経済全体のパイを縮小させる恐れがあり、一国の経済厚生を悪化させてしまうことになりかねない。 しかし、現状の日本で、どちらの政策の不足がより深刻か、と問われれば、ここ数年、筆者は

      コラム:所得再分配、なぜ日本でも急務なのか=河野龍太郎氏
    • コラム:人手不足でも賃金停滞、日本最大の謎=河野龍太郎氏

      [東京 6日] - 筆者はここ数年、日本の労働需給が相当ひっ迫しているにもかかわらず、賃金が上がらない理由に関連し、主に次の2点を論じてきた。1つは統計上、賃金上昇を過小評価している可能性。もう1つは、労働需給ひっ迫が続けば、いずれ賃金上昇が加速する可能性があるということだ。 6月6日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、いずれ高齢者や主婦の余剰労働が枯渇すれば、賃金が急上昇する可能性はあるが、問題はそこに到達するまで日本経済の拡大局面が続くかどうかだと指摘。提供写真(2017年 ロイター) まず念のために言っておくと、日本経済が完全雇用に入ったとみられる2014年前半から、多くの賃金データで上昇率は多少高まっている。代表的な賃金データである所定内給与の前年比は、同時期にマイナス幅の縮小が始まった。厳密な問題設定としては、なぜ賃金が上がらないのかではなく、なぜ賃金上昇がこうまで

        コラム:人手不足でも賃金停滞、日本最大の謎=河野龍太郎氏
      • コラム:日本経済を蝕む「モルヒネ中毒」=河野龍太郎氏

        12月14日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、マネタイゼーションはいったん始まれば、歯止めがきかなくなると警鐘を鳴らした。提供写真(2012年 ロイター) [東京 14日 ロイター] わずかな例外を除き、日本では過去20年にわたって、財政政策も金融政策も緩和方向に偏った極端な政策運営が続けられている。軽微な景気減速の際にも追加財政や金融緩和が発動され、さらに最近では日本銀行による財政赤字のファイナンス(マネタイゼーション)を可能とすべく、財政制度や中央銀行制度を変更すべきだとの前代未聞の提案まで聞かれるようになった。残念ながら、日本経済が患う「モルヒネ中毒」は悪化するばかりである。 筆者が常々指摘していることだが、財政政策や金融政策など裁量的なマクロ安定化政策そのものに、新たな付加価値を生み出す力はない。マクロ安定化政策が企図するところは経済変動の平準化であり、消費水準のボ

          コラム:日本経済を蝕む「モルヒネ中毒」=河野龍太郎氏
        • コラム:米国を蝕む「縁故資本主義」=河野龍太郎氏

          2月1日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、トランプ米政権のクローニーキャピタリズム(縁故資本主義)は主に2つの経路で、米国の潜在成長率を抑制し、米国人を貧しくすると指摘。提供写真(2017年 ロイター) [東京 1日] - 懸念した通り、トランプ新大統領は1月20日の就任演説でも、保護主義的なスタンスを修正しなかった。なんと「保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる」と自由貿易を否定し、今後は「米国製品を買い、米国人を雇う」という2つを基本ルールにするという。

            コラム:米国を蝕む「縁故資本主義」=河野龍太郎氏
          • コラム:日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏 | ロイター 2016年10月27日

            [東京 27日] - アベノミクス開始以降、日本の平均成長率は年率0.8%にとどまる。2015年以降はわずか0.2%だ。一方、物価動向を見ると、エネルギーを除くコア消費者物価指数(CPI)は15年12月に一時、前年比1.3%まで上昇したものの、今年8月には0.4%まで低下している。安倍政権は2%成長、2%インフレを大々的に掲げていたが、いずれも目標に届いていない。 10月27日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日本の冴えない経済パフォーマンスと高い政治的な安定性のアンバランスは海外の人にとって大きな謎になっていると指摘。提供写真(2016年 ロイター) しかし、安倍首相の支持率は高く、今や先進国では稀と言っていいほどの政治的な安定性を確保している。経済のさえないマクロパフォーマンスと高い政治的な安定性のアンバランスは、海外の人にとって大きな謎である。筆者は先日、ニューヨーク

              コラム:日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏 | ロイター 2016年10月27日
            • コラム:日本経済「慢心の2年」への危険な兆候=河野龍太郎氏

              2月4日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、2013―14年の日本経済はバブル的様相が強まり、「慢心」の年になるのではないかと指摘。提供写真(2013年 ロイター)

                コラム:日本経済「慢心の2年」への危険な兆候=河野龍太郎氏
              • コラム:ポピュリズムはなぜ世界を席巻するのか=河野龍太郎氏

                12月14日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、世界的なポピュリズム台頭の理由として、グローバリゼーションへの反動、長期停滞の政治的帰結、民主主義の自壊という3つの仮説が考え得ると指摘。提供写真(2016年 ロイター)

                  コラム:ポピュリズムはなぜ世界を席巻するのか=河野龍太郎氏
                • コラム:長期金利上昇、金融危機の「誘発点」はどこか=河野龍太郎氏

                  5月16日、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は、3%程度までの長期金利上昇でも、政府が対応を誤れば、財政問題と銀行危機の負のスパイラルが始まるリスクがあると指摘。提供写真(2013年 ロイター) これまでのコラムでも述べてきたように、アグレッシブな金融緩和と大盤振る舞いの追加財政をパッケージにしたアベノミクスは、今後も追加財政を止めることができず、結局、「マネタイゼーション」の罠に陥るのではないかと筆者は懸念している。このとき問題は、デフレから脱却した際、日銀が国債をアグレッシブに購入しても、長期金利の上昇を食い止めることが難しくなるという点だ。 1%の均衡実質金利を前提にするならば、2%のインフレ予想が定着した場合、長期金利は少なくとも3%程度まで上昇する。長期金利が上昇し、損失が発生すると、投資家は損失リスクへの見返りとして上乗せ金利(リスクプレミアム)を求めるようになる。リスクプレミア

                    コラム:長期金利上昇、金融危機の「誘発点」はどこか=河野龍太郎氏
                  • コラム:トランプノミクスの「負の帰結」=河野龍太郎氏

                    11月21日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、金利上昇とドル高の継続によって、トランプ景気は2018年中に転機を迎え、2019年以降にはトランプ不況に転じる可能性があると指摘。提供写真(2016年 ロイター) [東京 21日] - 大規模財政、移民規制、保護貿易を掲げるドナルド・トランプ共和党候補が米国大統領選挙で勝利した。この先、いったい何が起こるのか。2回に分けて、トランプ次期政権の経済政策(トランプノミクス)が世界経済と日本経済に与えるであろう影響について論じたい。

                      コラム:トランプノミクスの「負の帰結」=河野龍太郎氏
                    • コラム:潜在成長率回復を阻む「真犯人」=河野龍太郎氏

                      11月5日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、アグレッシブな金融政策が資源配分や所得分配を歪め、潜在成長率の回復を阻んでいると指摘。提供写真(2015年 ロイター) [東京 5日] - 中国の追加緩和、日欧の追加緩和観測などを好感し、世界的な株高傾向が続いている。ただ、アグレッシブな金融緩和で株高がもたらされても、それはあくまで一時的で、その先の実体経済への効果が限られるのは、すでに多くの人が認識していることだろう。 各国経済停滞の原因が潜在成長率の低下にあるのなら、そもそも金融緩和で対応できる話ではない。にもかかわらず、ここ数年、多くの政策当局者がケインズ流のシンプルな「所得・支出アプローチ」ばかりで政策を語るようになったことは気がかりだ。日銀のように「期待に働きかける」などと装いを新たにするところもあるが、総需要喚起という点では、基本的な発想は変わらない。

                        コラム:潜在成長率回復を阻む「真犯人」=河野龍太郎氏
                      • コラム:完全雇用下の日本、円高が望ましい訳=河野龍太郎氏

                        4月4日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、完全雇用下の日本で、円高回避の金融緩和を続ければ、資源配分や所得分配が歪み、消費も回復せず、潜在成長率の低下が続くばかりだと指摘。提供写真(2017年 ロイター) [東京 4日] - 最近、自民党のある会合で、円安が本当に望ましいのか、解説を依頼された。円安が株高につながるとしても、有権者や中堅・中小企業からの反発に直面し、自分たちが進めてきた政策が一国全体の経済厚生の改善につながっているのか、心配する政治家が増えているのだろう。 安定した為替相場が望ましいことを前提とした上で、一般的な回答としてどちらが望ましいかは、景気の良し悪しに依存する。不況局面にあり、負の需給ギャップを抱えているのなら、円安が望ましい。そうした経済状況では、金融緩和が望ましく、それが円安を促す。輸出が刺激され、需給ギャップが改善される。

                          コラム:完全雇用下の日本、円高が望ましい訳=河野龍太郎氏
                        • コラム:「失われた20年」の次は「英国病」か=河野龍太郎氏

                          12月16日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日本も戦後の英国同様、金融抑圧の先に高率のインフレに陥るリスクはあると指摘。提供写真(2013年 ロイター)

                            コラム:「失われた20年」の次は「英国病」か=河野龍太郎氏
                          • コラム:アベノミクスの現実逃避、高すぎる成長目標=河野龍太郎氏

                            経済成長は重要である。全てではないにせよ、多くの問題を緩和、解決できるからだ。しかし、現実には成長率を高めることは容易ではない。それゆえ、歴代政権は同じような成長戦略を繰り返し策定してきたとも言える。それにしても、到底達成できない非現実的な高い成長目標を掲げる政権が後を絶たないのはなぜか。 かつて大平正芳元首相は「政治が甘い幻想を国民にまき散らすことは慎まなくてはならない」と述べた。まず、我々はこの言葉を重く受け止めるべきである。追加財政や金融緩和で好況を作り出すことを、成長率を高めることだと考える人がいるが、それは明らかに誤りだ。追加財政は「将来の所得の前借り」を行っているだけに過ぎない。借金をいつまでも続けるわけにはいかないのである。

                              コラム:アベノミクスの現実逃避、高すぎる成長目標=河野龍太郎氏
                            • コラム:株バブルの危険、日銀はETF購入再考を=河野龍太郎氏

                              [東京 30日] - 世界的に株高傾向が続いている。各国経済がポジティブ・ショックを相互にもたらすことで、世界経済の回復ペースが徐々に加速していることが背景の1つにある。輸出増加で国内経済が刺激され、それゆえ輸入が増えるため、今度は海外経済が刺激され、再び自国の輸出が増えるという、貿易を通じた乗数メカニズムがグローバルで観測される。 もう1つの株高の背景は、グローバルでインフレが安定しているため、緩和的な金融環境が続いていることだ。米欧の中央銀行が金融緩和の出口を模索していると言っても、そのペースは極めて緩慢で、堅調な実体経済に比べると、金融環境は相当に緩和的である。日本の株高も総選挙での与党勝利を受けたアベノミクス継続期待だけでなく、こうしたグローバルな株高環境が背景にあるとみられる。 ただ、2000年代以前であれば、景気拡大が長引くと、異なる展開がみられた。各国で労働需給が逼(ひっ)迫

                                コラム:株バブルの危険、日銀はETF購入再考を=河野龍太郎氏
                              • コラム:「消費増税で教育無償化」の本末転倒=河野龍太郎氏

                                [東京 26日] - 安倍晋三首相は2019年10月の10%への消費増税について、その使途を広げ、幼児教育の無償化など、新たな歳出拡大の財源に充てる意向を示した。衆院選挙で国民の信を問うという。筆者がかねてより懸念していた通りの展開になってきた。 しかし、驚いたことに、エコノミストの間でも、今回の見直し論に賛同する人が少なくないのだという。10%から先の増税の必要性を考えると、「希望の党」の小池百合子代表が主張する増税凍結など再度先送りに比べれば、まだましということなのだろうか。 あるいは、税収増の全てを新たな歳出の財源に充てるという民進党の大盤振る舞いの主張に比べればまだまし、ということなのだろうか。確かに皆が思い描いていた最悪の事態よりは、まだましな選択ということなのかもしれない。 とはいえ、政治的に容易ではないとしても、あるべき最善の政策について提言をするのが、我々エコノミストの役割

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                                • コラム:アベノミクスに転換迫る「不都合な真実」=河野龍太郎氏

                                  9月9日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日本の潜在成長率はそう遠くない段階でマイナスの領域に入る可能性があり、それを回避するには国民純貯蓄を食い潰す社会保障費の削減が不可欠だと指摘。提供写真(2014年 ロイター) [東京 9日] - マクロ安定化政策を方向転換すべき時期が到来していると、筆者はかねてより指摘してきた。日本経済のスラック(弛み)がほぼ解消され、追加財政と金融緩和(それに伴う円安)のメリットはほとんどなくなり、デメリットが大きくなっているからである。 円安による景気刺激効果を重視する人が多いが、円安が進んでも国内生産能力の低下から実質輸出が増えない一方で、円安による輸入物価上昇が家計の実質所得を損なっている。消費増税後の個人消費の戻りが弱いのは、増税の後遺症だけでなく、円安も影響している。

                                    コラム:アベノミクスに転換迫る「不都合な真実」=河野龍太郎氏
                                  • 河野龍太郎氏に聞く 日本の成長力を低下させたアベノミクスの「罪」 | 毎日新聞

                                    安倍晋三前政権が掲げ、菅義偉政権にも引き継がれた「アベノミクス」。機動的な財政出動、大規模な金融緩和を旗印に9年近く続いた経済政策は、菅首相の退任でいったん区切りを迎える。アベノミクスは日本経済に何を残したのか。次期政権が取り組むべき課題は何か。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストに聞いた。【聞き手・松岡大地/経済部】 過度な景気刺激策の弊害 ――菅政権も引き継いだアベノミクスを、どう評価しますか。 ◆功罪あると思います。戦後最長の「いざなみ景気」(2002~08年)には及びませんでしたが、景気回復を続けるという目的は達しました。一番の成果は、完全失業率が3%を大きく下回り、働く意思と能力のある人がほぼ働いている「完全雇用」の状態を達成したことです。 菅政権は独自の政策も掲げました。50年の温室効果ガス排出実質ゼロ、デジタル庁創設、携帯電話料金の引き下げなど、1年で重量級の政策を

                                      河野龍太郎氏に聞く 日本の成長力を低下させたアベノミクスの「罪」 | 毎日新聞
                                    • コラム:消費増税先送り後、4つの経済シナリオ=河野龍太郎氏

                                      6月12日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、今回の消費増税先送りを受けて、日銀の金融引き締めは2020年春まで不可能になった可能性が高く、ゼロインフレ下でマイナス金利による金融抑圧が継続するシナリオが濃厚だと指摘。提供写真(2016年 ロイター) [東京 12日] - これまでも論じている通り、筆者は、安倍政権は金融緩和による通貨安での景気刺激の限界を認識したため、中央銀行ファイナンスによる大規模財政に舵を切ったと考えている。つまり、今回の消費増税先送りも財政シフトの一環と見ている。 もちろん、景気刺激策としての金融政策の限界が認識されたからといって、日銀の役割がなくなったわけではない。円安でかさ上げした株価が下落したのでは元も子もないと政権は考えるだろうから、円高が進展する際には、それを抑制すべく政治的な緩和プレッシャーが高まる。 いくら麻生財務相が口先介入で奮闘しても、

                                        コラム:消費増税先送り後、4つの経済シナリオ=河野龍太郎氏
                                      • コラム:英EU離脱、新自由主義時代の終焉か=河野龍太郎氏

                                        7月6日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、英国のEU離脱選択は、サッチャー・レーガン時代以来の新自由主義的政策が大きな曲がり角を迎えた歴史的転換点かもしれないと指摘。提供写真(2016年 ロイター) [東京 6日] - 英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」選択は多くの人に大きな衝撃を与えた。だが、当社の各国エコノミストの分析によれば、2016―17年の国内総生産(GDP)成長率へのインパクトは、英国が累計で2.0ポイントに達するものの、ユーロ圏は同0.5ポイント、米国は同0.2ポイントにとどまる。 これらを前提にすれば、日本経済への影響は、円高や株安を考慮しても0.2―0.3ポイントにとどまる。大規模な追加財政が検討されているが、日本経済が完全雇用にあることを考えるのなら、極力控えるべきだろう。そもそも日本の成長率が低いのは、潜在成長率がゼロまで低下している

                                          コラム:英EU離脱、新自由主義時代の終焉か=河野龍太郎氏
                                        • コラム:貿易戦争で世界経済「縮小スパイラル」は起こるか=河野龍太郎氏

                                          [東京 18日] - 貿易戦争がエスカレートしている。7月6日の中国の報復関税に対し、トランプ米政権はさらなる報復措置として、10%追加関税の対象となる6031品目、2000億ドル(約22.6兆円)相当の中国製品リストを7月10日に公表した。9月にも発動するというが、もし実際に発動されれば、中国も再び報復措置に出る可能性が高い。 7月18日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、米中の関税引き上げ合戦が、戦前の世界大恐慌に匹敵する事態を招く可能性は小さいが、不況は十分に起こり得ると指摘。写真はトランプ米大統領、ワシントンで2017年12月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts) 問題は、無謀な通商政策をトランプ大統領がいつまで続けるかである。米国では、政治的分断が深刻化し、無党派層も相当に増えているため、保護貿易が米国経済に悪影響をもたらすとしても、一部の有権者

                                            コラム:貿易戦争で世界経済「縮小スパイラル」は起こるか=河野龍太郎氏
                                          • コラム:成長と格差拡大、クズネッツ曲線は繰り返すか=河野龍太郎氏

                                            [東京 24日] - 理論上、自然利子率がマイナスの領域まで低下し、長期停滞に陥った経済において、積極的なマクロ経済政策に頼ったままでは、結局のところ、バブルか、大幅なプライマリー財政収支(PB)赤字か、あるいは大幅な経常収支黒字を抱え込むことでしか、完全雇用を達成できず、いずれも持続性に大きく欠ける。 長期停滞に陥っていたと考えられていた日米独が現在、完全雇用に達しているのは、長期停滞を脱したからではないのだろう。米国を中心に株式バブルや不動産バブルが醸成され、同時に日本は継続的なPB赤字を抱え、ドイツは大幅な経常黒字を抱えているから、一時的に総需要がかさ上げされているというのが筆者の仮説である。事実、完全雇用にあるにもかかわらず、いずこも賃金やインフレ、長期金利の上昇が遅れている。 もし米国でバブルが弾ければ、大幅なドル安が訪れるため、ドイツは大幅な経常黒字を維持できなくなるだろう。日

                                              コラム:成長と格差拡大、クズネッツ曲線は繰り返すか=河野龍太郎氏
                                            • コラム:新・長期停滞論、「完全雇用」を喜べない訳=河野龍太郎氏

                                              [東京 28日] - 2016年後半から世界経済の成長ペースが加速していることもあって、政策論で一時話題をさらっていたサマーズ・ハーバード大学教授(元米財務長官)の長期停滞論は下火となっている。日本だけでなく、米国もドイツも完全雇用にあり、長期停滞とは相いれない経済状況だ。 また、一部の人々は長期停滞の原因として、イノベーションの枯渇を挙げていたが、現在は人工知能(AI )やロボットの導入などデジタル革命が加速し、むしろイノベーションの時代が訪れているとも言える。 では、長期停滞論は、リーマン・ショック後に現れた、行き過ぎた悲観論と考えるべきか。いや、日米独で完全雇用が可能となっている理由を分析すると、長期停滞に陥っている可能性は排除できないように思われる。バブルや継続的なプライマリー収支赤字、大幅な経常黒字を伴っているから、完全雇用の達成が可能になっていると言うべきではないか。今回は、長

                                                コラム:新・長期停滞論、「完全雇用」を喜べない訳=河野龍太郎氏
                                              • コラム:シムズ理論、10の疑問=河野龍太郎氏

                                                2月21日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、インフレによる返済を前提とした追加財政を行うべきとするシムズ理論は賢人政治を前提としたものであり、現実の社会ではうまくいかず、高率のインフレを招く恐れがあると指摘。提供写真(2017年 ロイター) [東京 21日] - 日本の財政について、筆者が懸念しているのは、ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授らが主張する「物価水準の財政理論(FTPL)」を根拠として、安倍晋三首相が財政健全化の方針を転換し、2%インフレが達成されるまで、消費増税と基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字達成目標を凍結することである。

                                                  コラム:シムズ理論、10の疑問=河野龍太郎氏
                                                • コラム:「ポスト・アベノミクス」の金融政策=河野龍太郎氏 | ロイター

                                                  4月26日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日銀の自律性や専門性を重んじる政権が誕生すると、副作用をより重視する金融政策運営に移行するだろうと指摘。写真は都内の日銀本店前で2012年7月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) [東京 26日] - 2%インフレ目標の達成は容易ではない。消費者物価指数(CPI)の前年比は生鮮食品を除くコアが1.0%程度まで上昇したが、生鮮食品とエネルギーを除く新型コアはいまだに0.5%にとどまる。一方、マイナス金利政策や10年金利のゼロ%前後への誘導を続けることの弊害も、徐々にだが、至るところに現れてきた。 そもそも日銀法では、金融政策の理念について、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」とうたっている。つまり、金融政策の究極的な目的は物価の安定ではなく、国民経済厚生の継続的な向上である。それゆえ、2

                                                    コラム:「ポスト・アベノミクス」の金融政策=河野龍太郎氏 | ロイター
                                                  • コラム:円安戦略転換こそ原油安の天佑を生かす道=河野龍太郎氏

                                                    [東京 16日] - 安倍首相は、やはり幸運だ。自公が大勝した衆院選の話ではない。昨年末から機能不全に陥っていたアベノミクスの延命が、原油価格下落のおかげで可能になったかもしれない、ということだ。 現在の原油安は国内総生産(GDP)比で1.0ポイントの減税と同程度の効果を日本にもたらす。ただし、それはインフレ率の低下で景気回復がもたらされることを意味し、アベノミクスが目指してきたデフレ脱却による景気回復とは経路が大きく異なる。「景気回復、この道しかない」とは言えない気もするが、理由はともあれ、政治の世界では結果が大切だ。 振り返れば、安倍政権はスタート時も相当な幸運に恵まれていた。まず首相就任直前の2012年11月は循環的な景気の谷だった。リフレ政策を掲げる安倍首相の誕生が確実になったから、将来打ち出される政策を人々が予想し、景気回復が始まったと考える人がいるかもしれないが、2012年5―

                                                      コラム:円安戦略転換こそ原油安の天佑を生かす道=河野龍太郎氏
                                                    • コラム:「円安でデフレ脱却」シナリオの落とし穴=河野龍太郎氏

                                                      2月13日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は「円安政策はかなり確実なデフレ脱却策と言えるが、無視し得ない問題点や副作用もある」と指摘。提供写真(2013年 ロイター)

                                                        コラム:「円安でデフレ脱却」シナリオの落とし穴=河野龍太郎氏
                                                      • コラム:異次元緩和の出口で試される「第4の矢」=河野龍太郎氏

                                                        4月12日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、第4の矢として財政健全化の道筋を示すことができなければ、アベノミクスは単なるマネタイゼーションに堕(だ)すことになると指摘。提供写真(2013年 ロイター)

                                                          コラム:異次元緩和の出口で試される「第4の矢」=河野龍太郎氏
                                                        • コラム:円高アレルギーの「高すぎる代償」=河野龍太郎氏

                                                          [東京 3日] - ここ数カ月、筆者が強調しているのは、経済が完全雇用に近づいているため、極端に景気刺激的になっているマクロ安定化政策を早く方向転換せよ、という点である。 日本経済の成長ペースが鈍ってきたのは、消費増税の影響もあるが、それだけではない。経済のスラック(弛み)が解消された現在、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率を大きく超える成長の継続自体が難しくなっている。総需要や総需要刺激策の不足ではなく、経済の実力である潜在成長率が低いことが低成長の主因である。 現に、実質ベースで超円安となり、海外経済が回復局面にあるにもかかわらず、実質輸出は全く増えていない。円安は輸入物価上昇をもたらし、家計の実質購買力を抑制し、個人消費の足を引っ張るだけとなっている。マネタリーベースの目標達成のため、日銀がマイナスの実効金利で短期国債を買わざるを得なくなっていることも、さらなる円安を助長しており、量的・

                                                            コラム:円高アレルギーの「高すぎる代償」=河野龍太郎氏
                                                          • コラム:日中経済失速と戦前日本と中国の不穏な共通点=河野龍太郎氏

                                                            11月9日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、戦争に突き進んだ1920―30年代の日本と現代の中国との間に「不穏な共通点」が見られると指摘。提供写真(2012年 ロイター) [東京 9日 ロイター] 日本経済は外需の落ち込みに加えて財政によるサポートが減衰しつつあり、今年半ばから失速している。輸出・生産の減速が残業代や休日手当など所定外給与の減少や企業収益の悪化を通じて個人消費や設備投資にも波及し始め、景気は後退局面に入った可能性が高い。

                                                              コラム:日中経済失速と戦前日本と中国の不穏な共通点=河野龍太郎氏
                                                            • コラム:「金融抑圧」という陰鬱なシナリオ=河野龍太郎氏

                                                              「異次元緩和」という表現は、言い得て妙である。通常、中央銀行の政策は、グラジュアリズム(漸進主義)を基本とし、一気呵成の問題解決を目指さない。不確実性が存在する以上、アグレッシブな政策は、その副作用によって、マクロ経済を不安定化させてしまうリスクがあるためだ。 しかし、黒田日銀は戦力の逐次投入は行わないとして一気呵成の問題解決を目指し、アグレッシブな金融緩和策に踏み出した。長短ともにゼロ金利制約に直面し、伝統的な金融政策のトランスミッション・メカニズムはもはや機能していないため、大規模な国債購入によって、人々の「期待」に直接働きかけるという戦略を取ったのだ。 ただ、かねて指摘してきたように、「期待」で動くのは株式や不動産、コモディティ、為替レートなどのストックの価格であって、最終財・サービスの価格や賃金といったフローの価格は簡単には変化しない。フローの価格を動かすべく大胆な金融緩和を続けれ

                                                                コラム:「金融抑圧」という陰鬱なシナリオ=河野龍太郎氏
                                                              • コラム:異次元緩和の「もうひとつの限界」=河野龍太郎氏

                                                                10月31日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、金融緩和だけでインフレを醸成することは現在の日本では困難であり、また、そもそも2年でマネタリーベースを2倍にするハードルもかなり高いと指摘。提供写真(2013年 ロイター)

                                                                  コラム:異次元緩和の「もうひとつの限界」=河野龍太郎氏
                                                                • コラム:日銀緩和中毒が招いた財政規律の喪失=河野龍太郎氏

                                                                  11月20日、BNPパリバ証券の河野龍太郎経済調査本部長は、日銀の金融抑圧が本格化したことで想定以上に長期金利上昇が抑え込まれ、実質金利のマイナス幅拡大によって、円安が加速する可能性が高まったと指摘、提供写真(2014年 ロイター) [東京 20日] - 従来から筆者は、日本経済の中長期シナリオとして、次の4つを掲げてきた。1)デフレ回帰、2)4―5%の比較的モデレートなインフレ下での金融抑圧、3)10%程度の高インフレ下での金融抑圧、4)安倍政権が目標とする「2%潜在成長率・2%インフレ」の定着である。 高水準の公的債務を抱える中で、財政・金融政策によってデフレ脱却を目指せば、インフレ醸成後に財政従属に陥り、金融抑圧が不可避となる。つまり、インフレ率が上昇しても、財政への配慮から長期金利上昇を避けるために、ゼロ金利政策や長期国債の大量購入を止められず、結局、インフレ・タックスによって公的

                                                                    コラム:日銀緩和中毒が招いた財政規律の喪失=河野龍太郎氏
                                                                  • コラム:株バブル最終局面か、もう1つの逆回転メカニズム=河野龍太郎氏

                                                                    [東京 7日] - 米国経済に関する筆者の仮説は、もはやバブルを醸成することでしか、完全雇用に達することはできない、というものである。過去20年、米国が完全雇用に至ったのは、2000年のITバブル期と2005―07年の住宅クレジットバブル期だけで、今回も同様というのが筆者の持論だ。 労働節約的なイノベーションやグローバリゼーションの進展によって、資本やアイデアの出し手、経営者に所得増加が集中、彼らの支出性向は平均的な労働者に比べて低いため、投資と貯蓄を均衡させる自然利子率が大きく低下した。その結果、米国経済も長期停滞に陥り、日本のように大幅な財政赤字を継続するか、ドイツのような大幅な経常黒字を継続するか、そうでなければバブルを作ることでしか完全雇用に達することができないのである。

                                                                      コラム:株バブル最終局面か、もう1つの逆回転メカニズム=河野龍太郎氏
                                                                    • コラム:円安に頼る「輸出偏向型経済戦略」の落とし穴=河野龍太郎氏

                                                                      1月29日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、円安や低賃金に頼る輸出偏向型の経済戦略を続けている限り、日本はいつまでも豊かになれないと指摘。提供写真(2014年 ロイター)

                                                                        コラム:円安に頼る「輸出偏向型経済戦略」の落とし穴=河野龍太郎氏
                                                                      • コラム:金融抑圧が招く「バブル」への道=河野龍太郎氏

                                                                        5月15日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、金融抑圧によって名目成長率を下回る水準に長期金利を抑制すれば、潜在成長率が劇的に改善しなくても、資産価格が上昇を続け、ユーフォリアが広がると指摘。提供写真(2015年 ロイター) 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長 [東京 15日] - 日経平均株価が上昇し、例えば2万円などの節目に達すると、筆者に弱気コメントを求めるメディアからの連絡が増える。バランスを取るために必要なのだろうか。筆者がアベノミクスの帰結に対して悲観的であることを多くの人が認識しているのだ。 極端な金融緩和や追加財政など第1の矢、第2の矢で景気を持ち上げることが一時的にできても、第3の矢である成長戦略の効果は劇的に現れるものではない。 それゆえ、アベノミクスの最終的な帰結は、1)インフレが上昇するだけで、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率はほとんど改善しな

                                                                          コラム:金融抑圧が招く「バブル」への道=河野龍太郎氏
                                                                        • コラム:「法人減税でも税収増」のまやかし=河野龍太郎氏

                                                                          3月25日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、財源論を棚上げした法人税減税は不適切であり、たとえ実施しても大きな景気刺激効果は見込めないと指摘。提供写真(2014年 ロイター)

                                                                            コラム:「法人減税でも税収増」のまやかし=河野龍太郎氏
                                                                          • 視点:2016年の日本経済、20の疑問(上)=河野龍太郎氏

                                                                            12月21日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、2016年の日本経済について、15年と同様、0.3%の潜在成長率をわずかに上回る緩慢な成長が続くと予想。提供写真(2015年 ロイター)

                                                                              視点:2016年の日本経済、20の疑問(上)=河野龍太郎氏
                                                                            • コラム:原油安で延命、アベノミクスの猶予は1年=河野龍太郎氏

                                                                              2月10日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、安倍政権は原油安効果が続く間に、地道に潜在成長率向上の努力を続ける必要があるが、その猶予期間は約1年だと指摘。提供写真(2015年 ロイター) 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長 [東京 10日] - 2014年4月の消費増税後、多くの人の想定以上に個人消費が低迷したのは、円安によって輸入物価が上昇したためだった。輸入物価の上昇と、消費増税によって、名目賃金の上昇を大きく上回って物価が上昇し、家計の実質購買力が損なわれたのである。 消費増税が景気に悪影響を及ぼすことは当初から認識されており、その対応として、様々な政策が用意されていた。アグレッシブな金融緩和を通じた円安誘導もその一つだったはずだが、現実には円安が2014年の景気の足を引っ張ってしまった。 アベノミクスでは、デフレから脱却することで、日本経済が自律的な回復軌

                                                                                コラム:原油安で延命、アベノミクスの猶予は1年=河野龍太郎氏
                                                                              • コラム:戦前の米金融政策と黒田日銀の不吉な共通点=河野龍太郎氏

                                                                                6月24日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日銀が第二次世界大戦前後のFRBのように国債管理政策に深く組み込まれていく恐れがあると指摘。提供写真(2013年 ロイター) 異次元緩和の副作用で、国債市場の動揺が止まらない。黒田日銀は、2年以内の2%インフレ目標達成を目指し、ネットで年率50兆円、グロスで同90兆円の国債大量購入政策を開始した。ネットの購入額は2013年度当初予算における新規国債発行額の43兆円を上回り、事実上、日銀が財政赤字をファイナンスする格好となっている。紛れもないヘリコプター・ドロップ政策(マネタイゼーション)である。

                                                                                  コラム:戦前の米金融政策と黒田日銀の不吉な共通点=河野龍太郎氏
                                                                                • コラム:総選挙が素通りする日本経済「真の争点」=河野龍太郎氏

                                                                                  本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの総選挙特集と外国為替フォーラムに掲載されたものです。写真は筆者提供。 [東京 10日] - マクロ安定化政策の視点で言えば、日本の抱える問題は深刻な人手不足であって、総需要不足問題はすでに解消されている。利用可能な経済資源を使って、より大きな付加価値を生み出す、つまり潜在成長率を高めるには、効率的な資源配分を追求しなければならない。 それは規制緩和など構造政策の領域だが、完全雇用にありながら金融緩和や追加財政を継続することは、資源配分の効率性を損ない、潜在成長率の改善に逆行する恐れもあるから、本来は手じまいを開始しなければならない。人手不足が問題なのだから、日銀や政府のサポートなしでは存続が難しい効率性の劣る企業が退出しても、雇用は間違いなく吸収される。 こうした正論が語られないのは、単に選挙前だからではないだろう。完全雇用になっても、株価ばかりが上昇

                                                                                    コラム:総選挙が素通りする日本経済「真の争点」=河野龍太郎氏