日本銀行の「多角的レビュー」には、ひとつの隠れたテーマがある。それは「財政ファイナンス」に関するものだ。この問題をめぐる議論の必要性については、2度にわたり開催された多角的レビューの会場でも複数の参加者から指摘がなされたと記憶しているが、昨年12月に日銀から公表されたレポート(「金融政策の多角的レビュー」)の本編では、必ずしもこの問題について十分な言及がなされていないようだ。 金融政策の運営について政府があれこれ注文をつけることに一定の慎重さが求められるのと同じように、日銀が財政運営について垣根を越えて発言することは控えるべきという判断はあってもおかしくないが(2013年8月の消費増税集中点検会合で「どえらいリスク」を強調して予定通りの増税実施を促した黒田総裁(当時)も、その後は財政運営について控えめの発言を繰り返すようになった)、「財政ファイナンス」をめぐる議論は財政と金融の連携と役割分