「水の代わりに重りを使うことで、より安く、効率的で、環境に優しいエネルギーの貯蔵を実現できる」 そう話すのは、米国のスタートアップ企業「Energy Vault」の共同創設者でCEOのロバート・ピコーニさん(54)だ。 太陽光や風力など再生可能エネルギーが余っているときに、電気を使ってクレーンなどでブロックを高い位置まで上げておき、電力の需要に応じてブロックを落下させ、連動した発電機を回すことで発電する。原理は、ダムに水をくみ上げ、落下させて発電する揚水発電と同じだ。 水の代わりに上げ下げするのは、巨大なブロック。コンクリート製である必要はなく、残土やがれきなどでもつくることができる。落下速度の制御や発電量の最適化などを含め、一連の操作はAIを搭載した自社のソフトウェアですべて自動化している。 2017年に創業し、2020年にスイスでタワー型の試作モデルを建設。高さ70メートルのタワー上部