「月並みだけど、生牡蠣食べるならこれだよね」と行人が選んだのはシャブリだった。レモンのように酸味が強く、生牡蠣のミネラル感と同調してくれる。一杯目はいつもこれだ。 「ワインもいいけど……」と莉愛は迷っていたが、「やっぱ日本酒かな」と純米吟醸を選んでいた。アルコール度数高め、うすにごりの生原酒だ。 生牡蠣よりも先に酒が運ばれてきた。まずは、お疲れ様でした、と軽く乾杯だけすする。 「さあ、牡蠣をたくさん食べるぞ」 莉愛が純米酒を口に含んだ。 「負ける気がしない」 行人もシャブリを飲んだ。 (青山美智子、朱野帰子、一穗ミチ、奥田亜希子、西條奈加『ほろよい読書 おかわり』双葉文庫、2023) こんにちは。どうでしょうか。月並みだけど、牡蠣、食べたくなりますよね。シャブリ、飲みたくなりますよね。食べたくなったし、飲みたくなったので、定時に学校を出て、オイスター・バーへ。 5名の作家(青山美智子、朱