駒沢典子さんとナルコレプシーとのつきあいは、もう40年以上になります。ナルコレプシーとは睡眠障害の一種で、時と場所を選ばず強烈な眠気に襲われ、1日に何回も眠り込んでしまう病気のこと。駒沢さんは小学校高学年ころに発症しましたが、なかなか病気だとは理解されず、高校生になってようやく診断がおりました。 しかし、「眠くなること」は、駒沢さんが抱えているさまざまな症状のうちのひとつでしかありません。感情が揺れ動くと筋力が脱力してしまう「情動脱力発作」や、夜中に目が覚めて食欲を抑えられなくなる「過食」、さらに代謝の低下からくる「肥満」や「糖尿病」、「体温調節の不具合」など、現在進行形でいくつもの症状を抱えています。 興味深いのは、ひとくちに症状といっても、それによってもたらされる苦労は一様ではない、ということです。身体的には苦しくないのに社会の無理解が原因で苦労が生じている症状もあれば、直接的な苦痛を