「ちょっと うるさいんよ 黙っといてくれん?」 出勤の支度をしていた時 テレビを観ていた夫に 言われた 「はぁ?」 私は言われた意味が 分からなかった 大声を出した訳でもなく 話し掛けてもいない 「テレビの邪魔して無いけど?」 「独り言が 多すぎるんよ」 「ず~っと 喋りよるじゃん」 夫にそう指摘されて はたと気が付いた 「ホンマや」 さっきは カウンターの果物籠から バナナを取っていて 『バナナが一本ありました~♪ バナナん♫バナナん♫ バ・ナァナ~』 と、「とんでったバナナ」を歌っていたし その前は お茶葉っぱを急須に入れる時 『お茶茶のチャチャチャ♫ お茶茶のチャチャチャ~』 と、おもちゃのマーチを パクっていた 自覚が無いまま 私は何かする度に 歌や言葉を発していた 驚いたものの 何だか納得がいかない 「私の話は いっつも聞いて無いくせに 何で独り言は スルーできんのよ」 「これは