東京都知事選が告示され、出発式に登場した小池(6月20日、東京都新宿区) SOICHIRO KORIYAMA FOR NEWSWEEK JAPAN <7月7日に迫る都知事選、3選にひそむ落とし穴。大衆の敵を作り出し、ワンフレーズで局面を変える...小池劇場の終わりの始まり> 「こんなひどいの、初めて」──。 街宣車の屋根から降りてきた現職の東京都知事、小池百合子が車椅子の男の耳元に曇った顔を近づけてそう言った。それは今、与野党対決の構図で行われている知事選の2カ月前、4月の衆議院東京15区(江東区)補選でのことだ。 耳打ちされた男は、この補選に挑んだ作家で政治団体「ファーストの会」副代表の乙武洋匡である。 乙武と小池という組み合わせは、この補選で誕生した新しいコンビだ。片や乙武は、『五体不満足』が累計発行部数600万部という記録を打ち立てたベストセラー作家で、元都教育委員でもある。 小池は