「これ以上働いたら壊れちゃう」――。42歳で過労死した食品スーパーの男性社員は、亡くなる1カ月ほど前、友人宛てのメールにそう書いた。背景にあったのは、出退勤記録に残らない「サービス残業」。労働時間が正しく把握されなければ、働き手の命や健康を守ることはできない。 2014年5月17日、首都圏地盤の食品スーパー、いなげや(本社・東京都立川市)の男性社員は友人あてのメールにこう書いた。 〈これ以上働いたら本当に壊れちゃうよ〉 その8日後、男性は勤務中に言葉が出づらくなり、救急車で搬送されて入院。いったん退院して仕事に復帰したが、翌月5日の夜、こんどは勤務が終わった直後に勤務先の店の駐車場で倒れているのを発見された。脳梗塞(こうそく)で21日に息を引き取った。42歳だった。 大学を卒業し、新卒でいなげやに入社。亡くなった当時、埼玉県志木市の志木柏町店に勤務し、一般食品売り場のチーフとして商品の発注