東シナ海の尖閣諸島周辺の領海内で海上保安庁の巡視船と衝突した中国船の船長が逮捕されたことに、中国の戴秉国国務委員(副首相級)が丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出して抗議したことに、日本政府内からは不快感が示された。 ただ、事態のエスカレートを避けるため、冷静に対処したい考えだ。 外務省幹部は「未明に呼び出すのは外交上、非常に無礼だ」と指摘する。別の幹部は「船長の逮捕を許した中国政府に対して中国国内世論の反発が高まっているので、国内向けのポーズだ」との見方を示した。 政府は「誰から抗議を受けても、粛々と国内法に照らして手続きを進めるだけ」との立場を変えていない。丹羽大使は戴氏から呼び出しを受けた際、従来からの政府方針を伝え、11日に東シナ海の日中中間線よりも日本側で海洋調査を行っていた海保の測量船に中国船が接近して活動の中止を求めたことについても改めて抗議したという。