Clint Squints at the Afterlife 異色作『ヒア アフター』は、死をめぐる疑問や生者と死者のつながりを問う挑発的な物語で観客を魅了する クリント・イーストウッドが監督・主演した西部劇『ペイルライダー』(85年)は、超自然的な世界を匂わせる作品だった。それでもこれまでのキャリアからして、死後の世界への探求という冒険的で怪しく、厄介なテーマに彩られた『ヒア アフター』のような映画をイーストウッドが撮るとは、誰も想像できなかったはずだ(日本公開は11年2月19日)。 80歳になった今も、彼は私たちの意表を突いてくる。実績のある安全なジャンルを選ばず、死の運命と孤独、生者と死者のつながりをめぐる型破りな物語を紡いでみせた。 しかも映画の幕開けは、これまでのイーストウッド作品にはないほど鮮烈なアクションシーン。恐るべき大津波が熱帯の島に大惨事をもたらす場面で、数あるパニック