“──畜生! 人類がかぜをひいてほろびるなんて、なんて人を小馬鹿にした結末だ。アーメン” こちらは日本SF界の巨匠・小松左京が1964年に発表した『復活の日』に登場する一節だ。イギリス陸軍細菌戦研究所から漏れた新型ウイルス「MM-88」が全世界に拡大する物語を描いた名作である。 「MM-88」は3月ごろから世界に広まり、当初は「チベットかぜ」という新型インフルエンザだと思われていたが、強力な感染力と高い致死率、完治後も再発する、発熱症状がない者も突然コロリと死亡する――といった特徴を持っていた。やがて5月下旬にソ連首相が病死したころから、各国の医療体制やインフラの崩壊がはじまる。 日本でも6月中旬から主要交通網や電気・水道網が寸断され、同月末には日本国民の8割が死亡する。事態の悪化は止まらず、7月第3週には大統領を含めたホワイトハウスのスタッフが全滅してアメリカ合衆国が崩壊。そして9月上旬
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