ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (62)

  • 「なぜ30%値下げできないの?どれくらいなら下げられるの?」「できるか、できないかで答えてください」と高圧的に言われたらどうするか?『戦略的交渉入門』

    「その価格では厳しい、30%下げてほしい」 と、初手から無理な数字をふっかけてくる。それは難しいと答えると、 「なぜですか?どの程度なら下げられますか?」 と畳みかけてくる。答えに窮すると、 「できるのか、できないのか、答えてください。できないなら議論は終わりです」 と言い放つ。 価格交渉や要件定義の場で、高圧的な態度で話す人がいる。相手を説き伏せ、自分の思い通りの結論に持っていきたがる。一方的にまくし立てて、質問に質問を重ね、相手に話す機会を与えない。 典型的なパワープレイ、二分法、アンカリングの交渉術である。これらはビジネス上の技法であることを、そもそも知らなかった若いころは、さんざんやられたものだ。顧客だけでなく営業や上司からもやられたことがある。 そして、交渉の「術」だから対策がある。『戦略的交渉入門』には、こうした交渉「術」への対策がふんだんに盛り込まれている。 「なぜ30%下げ

    「なぜ30%値下げできないの?どれくらいなら下げられるの?」「できるか、できないかで答えてください」と高圧的に言われたらどうするか?『戦略的交渉入門』
  • ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった

    有名だけど退屈な小説の代表格は、『一九八四年』だ。全体主義による監視社会を描いたディストピア小説として有名なやつ。 2017年、ドナルド・トランプが大統領に就任した際にベストセラーになったので、ご存知の方も多いだろう。「党」が全てを独裁し、嘘と憎しみとプロパガンダをふりまく国家が、現実と異なる発表を「もう一つの事実(alternative facts)」と強弁した大統領側近と重なったからかもしれぬ。 『一九八四年』は、学生の頃にハヤカワ文庫で読んだことがある。「ディストピア小説の傑作」という文句に惹かれたのだが、面白いという印象はなかった。 主人公のウィンストンは優柔不断で、あれこれグルグル考えているだけで、自ら行動を起こすというよりも、周囲の状況に流され、成り行きで選んでゆく。高尚な信念というより下半身の欲求に従っているように見える。 「党」を体現する人物との対話も、やたら小難しく何を言

    ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった
    qinmu
    qinmu 2024/01/27
  • ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』

    人はミスをする。これは当たり前のことだ。 だからミスしないように準備をするし、仮にミスしたとしても、トラブルにならないように防護策を立てておく。人命に関わるような重大なトラブルになるのであれば、対策は何重にもなるだろう。 個人的なミスが、ただ一つの「原因→結果」として重大な事故に直結したなら分かりやすいが、現実としてありえない。ミスを事故に至らしめた連鎖や、それを生み出した背景を無視して、「個人」を糾弾することは公正なのか? 例えば、米国における医療ミスによる死亡者数は、年間40万人以上と推計されている(※1)。イギリスでは年間3万4千人もの患者がヒューマンエラーによって死亡している(※2)。 回避できたにもかかわらず死亡させた原因として、誤診や投薬ミス、手術中の外傷、手術部位の取り違え、輸血ミス、術後合併症など多岐にわたる。数字だけで見るならば、米国の三大死因は、「心疾患」「がん」そして

    ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』
    qinmu
    qinmu 2024/01/06
  • この本がスゴい!2023

    「あとで読む」と思ったが、後で読まれた試しがない。 今度の週末・連休にと、積まれたは崩されない。次の盆休み・年末年始に繰り越され、山脈を成し床が消える。 読書事になぞらえて、「血肉化」と表現するならば、私がやっていることは、メニューを眺めて片っ端から注文しているくせに、いんすた映えを気にしながら撮るくせに、まともに咀嚼して嚥下して消化してない状態だ。 そのくせ、「積読も読書のうち」と開き直ったり、溜まったこそ私の証などと屁理屈こね回す。読まないに「負債」のような後ろめたさを感じつつ、新刊を探しだす。新しいはそれだけで価値があると盲信し、かくして積読リストは延びてゆく。 もう一つ、恐ろしい予感がある。感受性の劣化だ。 あれほど楽しみに「取っておいた」が、まるで面白くなくなっている。いや、そのの「面白さ」が何であるかは理解できる。だが、それを面白いと感じなくなっているのだ。

    この本がスゴい!2023
  • なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?

    「謝ったら死ぬ病」をご存知だろうか? どんなに証拠を突き付けても、絶対に非を認めない人だ。 プライドの高さや負けず嫌いといった性格的なものよりもむしろ、過ちを認めることが、自分の命にかかわるものだと頑なに信じている。すなわち、「謝ったら死ぬ」という病(やまい)に取り憑かれている―――そんな人がいる。 もちろん、想像力が衰えて視野が狭く、無知な自分を認めたがらないような頑固者なら、可哀そうに思えども理解はできる。 だが、第一線で活躍する知識人や学者で、ものごとを客観視できるはずなのに、この病気に罹っている人がいる。それどころか、その優れた知性を用いてコジツケを考えだし、論理を捻じ曲げ、のらりくらりと言い逃れる。 なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか? ずばりこのタイトルの書を読んだら、疑問が氷解した。 それと同時に、「謝ったら死ぬ病」は私も罹患していることが分かった。「あの人」ほどは酷く

    なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?
    qinmu
    qinmu 2023/11/19
    「謝ったら死ぬ病」。
  • システム開発に銀の弾丸はないが「金の弾丸」ならある『人が増えても速くならない』

    例えばソフトウェア開発において、 人が増えても納期が短くなるとは限らない 見積もりを求めるほどに絶望感が増す 納期をゴリ押すと、後から品質はリカバリできない これを見て、「だよねー」「あるあるw」という人は、書を読む必要はない。 プログラミングは人海戦術で何とかならないし、「厳密に見積もれ」というプレッシャーは見積額を底上げするし、納期が優先されて切り捨てられた品質は、技術的負債として残り続ける。経験豊富なエンジニアなら、大なり小なり、酷い目に遭ってきただろうから。 だが、これらを理解できない人がいる。 要員を追加して、手分けしてやれば一気に片付くはず 厳密にやれば、見積りバッファーはゼロにできる 品質のことはリリース後にじっくりやればいい ……などと気で考えている。これは、ソフトウェア開発とはどういうものか、特性を知らないからだ。こんな無知な人間が経営層にいたり、顧客の代表となった場

    システム開発に銀の弾丸はないが「金の弾丸」ならある『人が増えても速くならない』
  • 未来を既読にする一冊『SF超入門』

    治療法がない疫病の感染者に、人は、どれだけ残酷になれるか。脅威を恐怖として煽るマスコミのせいで、防疫と差別を取り違える輩が登場し、およそ人とは思えないような残酷なことを平気で実行する。 「健康」が義務化され、不健康であることが罪となる社会では、自分の体を自分で自由にすることすらできない。健康が強制される管理社会において、最終的に支配する対象は「心」になる。 現代日の話ではなく、サイエンス・フィクションの話をしている。 物語であるにも関わらず、恐ろしいほど「いま」「ここ」を示している。コロナ差別や、背番号で健康管理をする時代のずっと前に、作品は世に問われ、エンタメの形で消費されてきた。 だから、物語が現実の形で登場するとき、「ああ、これは読んだことがある」と気づくことができる。目の前で進行する出来事に対し、「これは履修済み」として受け止めた上で、その物語を比較対象にしながら、是非を検討でき

    未来を既読にする一冊『SF超入門』
    qinmu
    qinmu 2023/03/05
  • 経済学はどこまで信用できるのか『経済学のどこが問題なのか』

    経済学が、うさんくさい。 ネットで見かける経済学者の態度が偉そうだとか、オレサマ経済理論を振りかざす連中の断定口調が気に入らないとか、そういうのをさっ引いても、経済学そのものに不信感がある。何か騙されているような感覚がつきまとう。 この記事では、『経済学のどこが問題なのか』(ロバート・スキデルスキー、名古屋大学出版会、2022)をダシに、経済学そのものが抱える問題について、以下の構成で考察する。 ・自然科学の体裁としての数式・モデル ・現実との乖離の埋め方 ・経済学の何が問題か ・経済学のうさんくささ、クルーグマンは知っていた ・もし経済学者が馬だったら ・行動経済学の罪 ・経済学者への処方箋 ・経済学者は謝ったら死ぬのか 自然科学のフリをする経済学 例えば、経済学者が説明するグラフやモデルだ。 数式やパラメーターが出てくるので、自然科学の体(てい)を成しているように見える。パラメーターを

    経済学はどこまで信用できるのか『経済学のどこが問題なのか』
  • 時を忘れる小説

    大きな現実の前では、文学はつくづく無力だな。 そも文学は人と人との間学(あいだがく)なのだから、人を超える圧倒的な事物には、術がない。しかし、言葉が人に対して影響をもつものなら、それがいかに微かであろうとも、その力を信じる。わたしは、物語の力を、信じる。 このエントリでは、時を忘れる夢中小説、徹夜小説を選んでみた。計画停電でテレビや電車が動かないとき、開いてみるといいかも。amazonからは書影のみお借りして、リンクはしていない。自分の書棚か、営業してる屋を巡ろう。文庫で、手に入り安そうなもので、かつ面白さ鉄板モノばかり選んだ。いま手に入りにくいのであれば、手に取れるようになったときの「おたのしみリスト」として期待してくださいませ。 ■大聖堂(ケン・フォレット、ソフトバンククリエイティブ) 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々の波瀾万丈の物語……とamazon評でまとめきれないぐら

    時を忘れる小説
    qinmu
    qinmu 2022/11/20
  • 『君の名は。』の初期プロットと、グレッグ・イーガン『貸金庫』の関係

    きっかけは、グレッグ・イーガンのこのツイート。 Just watched the anime “Your Name” (which was apparently inspired to some degree by my short story “The Safe-Deposit Box” (!) though the plot is entirely different [https://t.co/8jSpxyfnGp]). It was a bit saccharine in parts, but overall pretty good, and visually ravishing. — Greg Egan (@gregeganSF) November 28, 2020 “『君の名は。』を観ました(私の短編『貸金庫』にインスパイアされたらしいけど、プロットは全く違う)。ちょっと甘った

    『君の名は。』の初期プロットと、グレッグ・イーガン『貸金庫』の関係
    qinmu
    qinmu 2021/12/01
  • ヒットする物語の作り方『SAVE THE CAT の法則』

    『SAVE THE CAT の法則』 には、大ヒットする映画の法則と、それを適用する方法が書いてある。ベストセラー小説ゲームにおける、物語のベストプラクティスとしても使える。たとえば、 どんな映画なのか、一行(ログライン)で言えるか 「マトリックス」と「モンスターズ・インク」は同じ映画 全てのシーンに葛藤が必要な理由 原始人でも分かる、原初的な感情や欲求に立ち戻れ など、気づきが山のように得られる。目からウロコというよりも、見ていたはずなのに分かっていなかったことが、言語化されている。 一行で心をつかむ いちばん刺さったのが、「一行で言える?」である。どんなに優れたシナリオでも、説明するのが複雑すぎて、「一行で言えない」なら不合格だ。しかも、その一行でその気にさせなければならない。 つまりこうだ。脚であれ小説であれ、首尾よく書き上げたとしても、それを読んでもらわなければならない。そして

    ヒットする物語の作り方『SAVE THE CAT の法則』
  • この本がスゴい!2020

    今年の一年早くない? トシ取るほど時の流れを早く感じるのは知ってるけど、今年は特に、あっというま感がすごい。恒例のこの記事、もう書くの!? と思ってる。 毎年、「人生は短く、読むは多い」と能書き垂れるが、今年は、「人生は加速的に短く、読むは指数的に多い」と変えておこう。 そして、昨年と比べると、世界はずいぶん変わってしまった。 基的に外に出ない、人と会わないが普通になり、マスク装備が日常になった。オフ会や読書会でお薦めしあった日々は過去になり、代わりにZoomやチャットでの交流が増えた。 ポジティブに考えると、そのおかげで、読み幅がさらに広がった。わたし一人のアンテナでは、絶対に探せない、でも素晴らしい小説やノンフィクションに出会うことができた。お薦めしていただいた方、つぶやいた方には、感謝しかない。 さらに、今年はを出した。 ブログのタイトルと同じく、[わたしが知らないスゴは、

    この本がスゴい!2020
    qinmu
    qinmu 2020/12/02
  • なぜバカは無敵で世の中に蔓延しているのか分かる『バカの研究』

    桃井かおり「世の中、バカが多くて疲れません?」から30年、バカはどんどん増えている。 バカは、激しく自己主張する。 感情的にわめきたて、他人の意見に聞く耳を持たない。ことが起きるたびに「ほら、私が言った通りだろ?」と叫ぶ。思い通りにならないと、全て人にせいにして、自分が間違っている可能性を考えない。自分を高く評価するあまり、客観的な判断ができない。 バカは、「間違えたら死ぬ病」にかかっている。 自分の間違いを、絶対に認めようとしない。自分の間違いが証明されそうになると、ゴールポストを動かす。都合の悪いことを完全に忘れる能力があり、「昔は良かったが、今はダメだ」を口癖とする。 「バカ=知識がない」ではない。 知識はあり、アカデミックな立場にいるにもかかわらず、信じがたい愚かな発言を繰り返すバカは、大量にいる。しかも、なまじ知識があるぶん厄介だ。自分のイデオロギーを裏付ける文献を引用しながら、

    なぜバカは無敵で世の中に蔓延しているのか分かる『バカの研究』
    qinmu
    qinmu 2020/10/26
    ダニング=クルーガー効果。
  • 日本史に残る巨大 IT プロジェクトから学べること『みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史』

    大規模 IT プロジェクトの成功事例と、大規模システム障害の失敗事例を合わせた一冊。読み手に応じ、さまざまな学びが得られる。 困難な状況で、プロジェクトを成功に導く教訓を学ぶこともできるし、史上最悪のシステム障害がどのように発生し、波及していったかを生々しく読めるし、二度と起こさないための再発防止策を具体的にピックアップすることもできる。 「東京スカイツリー7」の ITプロジェクト なぜアズイズ(As-is)が問題なのか プロジェクト推進体制を強化する具体的な方法 2002年と2011年の大規模システム障害の顛末 IT システムの赤の女王説 日経コンピュータの「演出」 1. 東京スカイツリー7IT業界のサグラダファミリアと呼ばれてきた、みずほの勘定系システム「MINORI」が、2019.7月、ついに完成した。 4,000億円という巨費を投じて 富士通、日立製作所、日IBM、NTT

    日本史に残る巨大 IT プロジェクトから学べること『みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史』
    qinmu
    qinmu 2020/03/30
  • 『わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる』という本を書いた

    心を揺さぶり、頭にガツンとらわせ、世界の解像度を上げるは、確かにある。 読前と読後で自分を一変させる、すごい(スゴ)だ。から得られた知は、行動を変え、習慣を変え、人生を変える。これホント、なぜならわたしの身に起きたことだから。そんな「人生を変える運命の一冊」は、実は何冊もある。 このブログは、そうしたを中心に紹介してきた。これに加え、どのように探し、どう読み、何を得て、どんな行動につなげたかをにした。タイトルはブログと同じ、『わたしが知らないスゴは、 きっとあなたが読んでいる』だ。 ここには、あなたにとっての「運命の一冊」を見つける方法を書いた。あなただけのスゴと出会うパーフェクトガイドだ。3行でまとめると、こんな感じ。 を探すのではなく、人を探す方法 お財布に優しく(ここ重要)、スゴに出会い、見合い、結婚する方法 (良書なのは分かってるのに、なかなか読めない)運命の

    『わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる』という本を書いた
    qinmu
    qinmu 2020/02/23
  • 致死性ウイルス感染症が日常を浸食するプロセスを描いたSF

    もし、致死性ウイルス感染症の封じ込めに失敗し、パンデミックになるとしたら、それはどのようなプロセスをたどり、わたしたちの日常生活に、どう見えるのか? テレビやネットの情報は、日常の観点が少ない。 せいぜい、手洗いうがいの励行を促されるぐらい。緊迫した現場や、人種差別的な言動を目にして、不安だけは募るのに、この事態が進行していくと、わたしの日常をどうなっていくのか、想像するのが難しい。 では、最悪の場合、わたしたちの日常は、どうなっていくのか? 最悪が浸する日常『復活の日』(小松左京) 小松左京『復活の日』が、参考になる。 生物兵器として開発されたMM-88ウィルスを搭載した小型機が、冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、ウィルスは爆発的な勢いで世界各地を襲い始める。未知の致死性ウイルスに、人類はなすすべもなく倒れてゆく―――というお話だ。 小松左京は、日常が浸されてゆくプロセスを

    致死性ウイルス感染症が日常を浸食するプロセスを描いたSF
    qinmu
    qinmu 2020/02/06
  • この本がスゴい!2019

    人生は短く、読むは多い。 毎年この時期、自分のリストを振り返るのだが、読みたいが尽きることはない。読むほどに、知るほどに、知識と理解と表現の不足を痛感する。 それでも読むし、ここに書く。読むことで豊かになり、書くことで確かになるというのは当で、読んでいるときに何を知りどう考えていたかは、書くことでハッキリする。 つまり、自分で分かるために書いているのだ。フランシス・ベーコンは、話すことで機敏になるとも言ったが、わたしの場合、話すことで世界が変わった。[スゴオフ]や読書会、[冬木さんとのSF対談]や、読書猿さんとの知をめぐる対談[1][2][3]で、世界の見え方が変わった。 読書会や対談は今後もしていくが、そこで紹介されたや、2019年に出会ったの中から、わたしにとってのベストを選んだ。これが、あなたにとってのスゴとなれば嬉しい。そして、このリストを目にしたあなたが、「それがス

    この本がスゴい!2019
    qinmu
    qinmu 2019/12/01
  • ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』

    たとえば天下りマネージャーがやってきて、今度のプロジェクトでバグを撲滅すると言い出す。 そのため、バグを出したプログラマやベンダーはペナルティを課すと宣言する。そして、バグ管理簿を毎週チェックし始める。 すると、期待通りバグは出てこなくなる。代わりに「インシデント管理簿」が作成され、そこで不具合の解析や改修調整をするようになる。「バグ管理簿」に記載されるのは、ドキュメントの誤字脱字など無害なものになる。天下りの馬鹿マネージャーに出て行ってもらうまで。 天下りマネージャーが馬鹿なのは、なぜバグを管理するかを理解していないからだ。 なぜバグを管理するかというと、テストが想定通り進んでいて、品質を担保されているか測るためだ。沢山テストされてるならバグは出やすいし、熟知しているプログラマならバグは出にくい(反対に、テスト項目は消化しているのに、バグが出ないと、テストの品質を疑ってみる)。バグの出具

    ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』
    qinmu
    qinmu 2019/09/25
  • 運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』

    たとえば、高速道路に「たまたま」飛び出した人をはねて死なせてしまったとする。ドライバーは「注意して運転していれば避けられたはず」として、過失の度合いが図られる。 あるいは、通勤中、「たまたま」通り魔に襲われたとする。「過失」を無理やり探すなら、その道を選んでしまったことになるのだろうか。 この「たまたま」が厄介だ。 それまでの善行・悪行に関係なく、「たまたま」悪い目に遭う。悪い結果になっていないのは、偶然に過ぎないのに、結果が「たまたま」悪ければ、悪い原因が遡及される。 理想の世界では、善人には報酬が、悪人には報復が与えられる。災厄に見舞われた人には埋め合わせとする幸福が与えられる。 だが、現実は違う。善悪と幸不幸が同期しない。現実は、むしろ運に左右される。そのため、善悪を語る場から、運を排除しようとする。 宗教や神話は、「神意」や「天命」と呼ばれる神の意志=運命を取り入れ、前世や来世の因

    運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』
    qinmu
    qinmu 2019/08/26
  • リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた

    「女の子の匂い」をご存じだろうか? 「臭い」ではなく「匂い」である。 よく言われる、せっけんの香りではない。デオドラントや柔軟剤、コンディショナー、乳液、ハンドクリーム、化粧水、オーラルケア、ファンデなどの香料、フレグランスでもない。それらは、女の子から漂ってくる様々な匂いを構成する要素にすぎない。 そうした、外づけの化合物ではなく、女の子自身から発する匂いだ。ココナッツミルクや白桃を想起させる、何とも言えない、「匂い」というより、「あの感じ」といえば分かるだろうか。心地よく、はっとする感じ、あるいは身体的にオンになる感覚である。 これは、わたしの変態性が生み出した妄想にすぎぬ、と考えていた。しかし、優れた先人たちの研鑽と研究の末、「女の子のいい匂い」とは、以下の物質であることが判明している。 ・高級脂肪酸と安息香酸エストラジオール ・ラクトンC10、C11 では、女の子の匂いを再現するこ

    リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた
    qinmu
    qinmu 2019/05/23