タグ

ブックマーク / dc.watch.impress.co.jp (32)

  • あかるい夜──中東正之

    ──HDRIについて簡単に説明してください。 現実世界のダイナミックレンジ(明暗比)は広大で、一般的なカメラやモニターやプリンターの再現域では、到底およびません。HDRI(ハイ・ダイナミック・レンジ・イメージ)は、これを完全に再現しようとする試みです。 HDR撮影は、デジタルカメラで同じ構図を段階露光し、ハイエストライトからディープシャドーまで白トビ・黒ツブレしていない複数枚の画像ファイルを得ておきます。それらの画像ファイルをPhotoshopなどの画像処理ソフトで1枚に合成します。それには2つのやり方があります。 1つは伝統的な「露出コンポジット」で、段階露光したファイルをPhotoshopでレイヤーとして重ね、「適正」とおもわれるエリアを手作業で切り貼りして合成するという手法です。私は、これに倣ったやり方で「サヨナラ軍艦アパート」を撮りました。 もうひとつは、「トーンマッピング手法」と

  • dannna_o Blog──オオタカ・タカシ

    オオタカ・タカシ(大高隆)さんと、ぼくは年齢が同じである。加えて美術大学のデザイン科出身であるということも共通している(ぼくは中退しているが……)。オオタカさんのブログdannna_o Blogを見ると、写真の作風も、経歴も、趣味も、考えていることも、自分とはずいぶん異なっている。 とりわけ、オオタカさんは職業的な写真家としてもの装丁を中心にさまざまな撮影の仕事を手がけており、その点がぼくとの一番の違いだろう。にもかかわらず、そうした違いを越えた「同級生」のような親近感を感じるのは、やはり同世代だからだろうか。「なんだかわかるな、こういう人いるよな」という思いだ。オオタカさんもぼくに対して同様に感じているかもしれない。 オオタカさんの写真は、一見なにげないようでいてきわめてタフ(頑丈)であると感じる。焼きを入れた金属のかたまりから削りだした工業部品のような、緊密でスキがなくちょっとやそっ

  • 8zm//Work in Progress──前田一

    前田一(まえだ・はじめ)さんがやっている写真をどのように紹介すればいいだろうか……。伝統的な技術にもとづいたファインプリントを目指すものではないし、商業的な写真でもない。かといって、ホビー(趣味)としてやっているわけではもちろんない。なんらかのジャンルとして分類することの難しい写真である。 前田さんのWebサイト「8zm//Work in Progress」に載せられた写真に対して、ぼく自身はとても共感できるし質が高い写真だと思うが、それらについて言葉でわかりやすく説明することは難しい。つまり「わかりにくい写真」であり、かならずしも多くの人に理解されるものではないと思っていた。 ところが、最近ネット上で前田さんの写真がまったく見知らぬ人たちの間で注目されていることに気づいた。tumblrという画像やテキストを非常に簡単に投稿できるブログサービスがあって、そのユーザーの間で前田さんの写真が相

  • 【特別企画】梅佳代、Kiss Digital Xを使う

    梅佳代(初めてこの名前を聞いた人はhttp://dc.watch.impress.co.jp/cda/exib/2006/09/12/4586.htmlを参照、以下敬称略)のカメラは、日常生活のなかで起きている一瞬の出来事を捉える。その写真は見る人に微笑、哄笑、爆笑、苦笑、失笑……を起こさせる。そしてそのあとで「人生って悪くない」と思わせるのだ。 彼女の初の写真集「うめめ」でスナップ写真の新鮮な面白さに驚嘆した人も多いだろう。梅佳代初めてのこの写真集はすでに4刷が決定したほか、2007年1月14日にはTBSテレビ「情熱大陸」で彼女が取り上げられる予定だ。さらに来春には第2写真集も控えている。 その梅佳代が写真学校で購入して以来、ずっと使っているのはフィルムカメラのキヤノンEOS 5。いまのカメラは中古カメラ店で購入した2代目だ。眠る時以外はほとんど梅佳代の首にかけられ、一瞬の出番を待ち続け

  • 「Web写真界隈」が「第6回竹尾賞・デザイン評論部門優秀賞」を受賞しました

    内原恭彦氏による弊誌連載「Web写真界隈」が、「第6回竹尾賞」のデザイン評論部門優秀賞を受賞しました。竹尾賞・デザイン評論部門は、2007年12月31日までの1年間をめどに書籍、雑誌、学術研究誌、新聞等で発表されたデザイン評論記事の中から、「ヴィジュアル・コミュニケーションのよりよいあり方や活動を導く評論活動」を表彰する賞です。 第1回からご愛読いただいているというデザイン評論部門審査員の松葉一清氏を始め、連載にご協力いただいた皆様、そしてなにより、ご愛読・ご支援いただいた読者の皆様に厚くお礼申し上げます。今後ともよりよい連載をお届けできるよう精進してまいります。 なお、20日まで東京 丸ビル7Fホールで開催中の「TAKEO PAPER SHOW 2008」において、松葉氏による選評とともに、Web写真界隈の展示が行なわれています。 ■ 内原恭彦氏による受賞コメント ぼくは「Web写真界隈

    quao
    quao 2008/04/19
  • アパートメント ウェブ フォト ギャラリー──兼平雄樹

    兼平雄樹さんは、10年以上にわたって同潤会アパートを撮り続けている写真家である。 同潤会アパートは、昭和初期に東京、横浜の16カ所に建設された鉄筋コンクリートの集合住宅である。防災理念や都市中間層への住宅供給という目的で建設されたモダンでユニークな建築として知られている。80年の時を経て古色を帯びた外観と、当時の最新技術や未来への志向をこめられたモダニズム建築としての魅力によって多くの人の興味を引きつけてきた。 すでに2カ所を除いてほとんどの同潤会アパートは取り壊されてしまったが、映画やコマーシャルなどの「舞台装置」として数え切れないほどの映像として記録されてきた。ぼく自身も何回か三ノ輪の同潤会アパートなどを撮りにいったことがある。産業遺産や廃墟やレトロ(懐古趣味)的な建築への興味は一種のブームとなっており、同潤会アパートもそうした文脈でとらえられている側面があり、被写体としては消費しつく

  • #6700098 Takaci Hirano Photography──平野高志

    平野高志さんのWebサイト「#6700098 Takaci Hirano Photography」は、もう数年にわたって更新され続けている「古株」とも言える写真サイトである。ぼくはかなり以前から#6700098を見ているのだが、これまで平野さん自身と交流を持ったことはなかった。平野さんの撮る写真はぼくの写真とかなり異質で、むしろ正反対の写真のようですらあることに距離を感じていたからかもしれない。 平野さんの写真の多くは人間を撮ったものであり、日常生活におけるスナップにせよ演出された作品にせよ、その背後には人と人の濃密なコミュニケーションがうかがえる。特に「写真戯曲」というタイトルのコンテンツは、平野さんの生活を日記のようにスナップ写真で記録したもので、学生生活から始まって大学院の中退、都内における数回の転居、恋愛と離別、遊びや気晴らし、写真に対する探求、友人との出会い、飲み会、事、苦悩、

  • Web写真界隈 バックナンバー

    ・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。 ・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。 ・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

  • Every Sunday──福居伸宏

    ぼくは福居伸宏さんはWeb写真界隈の論客だと思っている。多忙な生業(雑誌編集)の合間を縫って更新される福居さんのブログ「Ubungsplatz」(ユーブングスプラッツ、ドイツ語で「練習場」の意味)では、メモとしてのURLのリンクやアフォリズムのような1行ネタに混じって、写真やアートに関する考察やジャーナリスティックな記述が多量になされている。 写真やアートをやっていくうえで言葉と無縁ではいられないが、飲み屋で交わされるいわゆる「写真論」の類は、感情的で不毛な結果を招くだけだとして敬遠する人も多いかもしれない。そうした消耗戦的な「論争」は、近ごろではネット上のブログや掲示板に場所を移しているのは周知のことだろう。ネット上での言葉のやり取りなどわずらわしいばかりで一文の得にもならないばかりか、下手をすると吊るし上げられてとんでもない目にあうと考える作家がいてもおかしくない。 ブログの「炎上」(

  • うつゆみこの日々のこまごま──うつ・ゆみこ

    ──うつさんのブログを見ると、ひんぱんに作品を掲載していますが、どのようなペースで制作をしていますか? 通常は、展覧会の予定が決まってからそれに向けて制作を始めます。そういう時は集中して1日に3点の作品を作ることもあります。が、それ以外のときは、制作はせずにけっこう悶々としていたりしますね。このところは調子が良くて、仕事がお休みの時は毎日制作をしています。撮影アシスタントの仕事を月に15日ほどやっているので、1日おきに制作している感じですね。ほんとうは集中して制作したいので連続して休みたいのですけど……。 ──どのような機材を使っていますか? おもにペンタックス 645とマミヤ RZ67です。 ──デジタルカメラは使わないのですか? EOS Kiss Digital Nを記録やポラ代わりのために使うことはありますが、展示する作品には使いません。触ると指紋がつきそうな印画紙の質感が好きです。

  • 写真にとって「構成」とは何か?

    写真について話していると、「構成」という言葉がよく出てくる。「構成がどうした」とか「構成的な写真」だとか「構成をもっとちゃんとしないと……」という言い方を耳にする。 ぼく自身も「構成」という言葉を割とよく使うのだが、他人と話してる時に「構成」という言葉の意味がいまひとつ通じあっていない、という居心地の悪さを感じることがある。「構成」という言葉の意味やニュアンスが人によって異なっているせいもあるし、ぼく自身が「構成」という言葉について厳密な定義を知らぬままなんとなく使ってしまっているところもある。 そもそも写真について言葉で語ることは難しいのだが、写真について言葉を交わす機会は多い。学校で、ワークショップで、ギャラリーで、そして近ごろではブログのコメントやトラックバックなどで……。写真における「構成」という言葉をもう少し明確にしておきたいと思った。 とは言っても、ぼくは「構成」という言葉を定

  • TAISUKE KOYAMA WEB──小山泰介

    ──写真を始めたきっかけは? 高校のころアウトドアや海外旅行にはまっていたので、自然環境を学ぶ専門学校に進学しました。卒業後はフリーターをやっていたのですが、絵を描く友達と知り合い、みんなで「MAGAZINE8」というフリーマガジンを作って、そこに写真やテキストを載せて毎月カフェや書店で配ったりしていました。 インド旅行に一眼レフを持っていったのが写真との出会いと言えますが、その時は観光写真的なものを撮るにとどまっていました。 写真に強烈な関心を持ったきっかけは、1998年の渋谷パルコギャラリーで見た森山大道さんの「Fragments」展です。展覧会が好きで色々見ていたので、森山さんのこともよく知らずに見に行ったのですが、なんというか、とてもドキドキしました。初めて買った写真集はその展示のカタログで、中島英樹さんのデザインでした。 それでも、その時も写真家になろうという気にはなりませんでし