冷戦時代、アメリカ軍は中国への核抑止力として、沖縄県内4カ所に核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル「メースB」基地を配備した。半世紀を経て、最後の一カ所が沖縄防衛局によって撤去されると聞き、1年交渉して、中に入れてもらった。 地表からは、黒くて分厚い鉄筋コンクリートの残骸が不気味な姿を晒していた。上物は復帰前に米軍が撤去したが、地下11メートルにも及ぶ構造物は、この土地が返還された2011年時点でも埋められたままだった。 時代が目まぐるしく変わる中、訓練場の一角に取り残された「冷戦時代の遺物」。それは沖縄の戦後史を見てきた証言者と言えるだろう。 だが私の関心は、過去の歴史ではなかった。 原状回復に日本の税金から129億円 アメリカ軍が使った返還地を訪ね、それらの土地から沖縄の「今」を考えるというのが、私のライフワークになっている。 これまでの取材で、軍隊が使った土地のほとんどで大量のゴミが出