先日、日経新聞にこんな記事が出ました: 「人工知能が東大合格する日 私立文系なら半数突破?」 これを見て、「あれ? 昔、似たようなニュース・ヘッドラインを見た覚えがある」と思われた方がいるかもしれません。その通り、1980年代の人工知能ブームで、淵一博博士率いるICOT(第五世代コンピュータ開発機構)などが1000億円以上の研究予算を使い、推論マシンとその上で動くソフトウエアを開発し、「小中学校の国語の試験問題で合格点を取れるようになった」云々、新聞紙面を賑わせていました。次第にその学年が上がり、遠くない将来には東大入試問題もいけるだろう、などのコメントもあったと思います。 筆者がNEC C&C情報研究所の研究員だった80年代末期の日本は、人工知能ブームに沸いていました。テレビCMには「ニューロ・ファジイ洗濯機」などのキャッチコピーが堂々と踊り(ニューロは神経回路網を模した適合型ソフトウエ