国際エネルギー機関(IEA)は10月13日に公表した世界エネルギー見通しで、脱炭素に必要な投資額として衝撃的な数字を示した。同時に世界のクリーンエネルギーに対する移行が、「あまりに遅い」と糾弾した。 各国政府に厳しい指摘となる一方、沸き立ったのは市場関係者だ。IEAは1970年代の石油ショックを機に経済協力開発機構(OECD)加盟国によって設立された組織で、もともと再エネ導入に積極的である。とはいえ、年間に必要な投資額を従来見通しの3倍と見積もった。今後の市場拡大を期待し、風力発電や再生燃料を手掛ける会社の株価は、IEAの発表以降に急上昇した。 IEAがこのタイミングで、衝撃的な見通しを示したのは理由がある。10月31日から英グラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催されるからだ。厳しい削減義務を負うことを避けたい政府にくぎを刺し、CO2削減の実効性を高めよう