また君主は、真の味方あるいは真の敵になるとき、つまり、一方に味方し他方に敵対するという姿勢を明確に打ち出すことで人々から尊敬される。それは、中立の態度をとるよりずっといい結果を招く。 たとえば近隣の二人の有力者が一戦を交えた場合、いずれどちらかが勝利する。その勝者はあなたにとって恐るべき存在となるか、そうでないかのどちらかだ。前者の場合、あらかじめ立場を明確にしておかなかったなら、あなたは必ず勝利者の餌食になる。負けたほうも、その成り行きに一時は溜飲を下げるだろう。 そしてあなたは誰かに保護を求める名分もなく、身を寄せる場所もなくなってしまう。なぜなら、勝者は、逆境のとき助けてくれなかった者を味方にはしたがらず、敗者の側も、武器をとって自分たちと運命をともにしようとしなかった者など受け入れるはずがないからだ。 かつてアンティオコスは、アイトリア人の要請でローマ人を追い払うためにギリシアに侵