はじめに 今回は『法華経』について少し考えてみたいとおもいます。 『法華経』は大乗経典ですから、歴史上の釈尊の説法をそのまま記録したもの(ノンフィクション)ではありません。あくまでもフィクションです。しかし、フィクションによって、歴史上の釈尊の思想がより生き生きと伝わるということはありえますし、実際、宮沢賢治のような人にはありありと伝わったんだろうとおもいます。 ある大乗経典について、それが伝えようとしている思想を理解した上で、「歴史上の釈尊の思想に反する」とおっしゃるのであれば、それはそれで一つの立派なお立場だろうと思います。しかし、世の中には、「大乗経典はフィクションだから価値はない」というような短絡的なことをおっしゃる方もおられるようです。こういうことをおっしゃる方は、ドキュメンタリー映画しかご覧にならないのかなといつも不思議におもいます。アニメを観て感動するといったこともおそらくな