宗教情報センターの研究員の研究活動の成果や副産物の一部を、研究レポートの形で公開します。 不定期に掲載されます。 藤山みどり(宗教情報センター研究員) 2016年も、イスラム過激派の活動が活発で、世界が混迷した1年だった。7月1日にはバングラデシュで日本人7人を含む20人が同国内のイスラム過激派による襲撃で犠牲となった。この事件には、2015年に日本人の妻子らと欧州に出国した後、行方不明になったバングラデシュ出身の元立命館准教授の関与が疑われた。14日には、フランス南部ニースで、大型トラックによるテロで86人が死亡し、ISが犯行声明を出した。だが、ISが伝承に基づいて“異教徒とイスラム教徒の最終決戦の地”として重視していたシリア北部の町ダビクを10月に反体制派組織「自由シリア軍」が奪還。ISの勢いにも翳りが見え始めた。 イスラム世界では、スンニ派大国サウジアラビアがシーア派宗教指導者ニムル