8月某日。東京地裁の法廷に、車いすの女性被告人がいた。見るからに異常なやせ方だ。黒のパンツスーツからのぞく足首は、明らかに私の手首より細い。頬は窪み、頬骨が突き出している。顔に生気がなく、唇にも色がない。口角は下がり、前屈みの姿勢もあいまって、30代初めという実年齢よりはるかに老けて見える。 東京地方裁判所 万引きで罪に問われるのは4度目だ。最初は書面による略式裁判で罰金刑。初めて正式裁判を受けた時は、懲役に執行猶予がついたが、次には実刑に。その一審判決を不服として控訴し、保釈で自由の身でいる間に、コンビニでおにぎりなど409円相当を万引きし、また捕まった。 拘置所収監中にどんどんやせて、とうとう命に関わる状態に。救急車で病院に運ばれて、入院。刑務官に車いすを押されて裁判に出廷できる程度には回復したが、摂食障害の症状は依然として重い。 後日、検察側は懲役1年を求刑した。しかし実刑となっても