拘束=支配という捉え方もできる。家族や友人も相手を拘束する。それは多分に無意識的で悪意はないように思える。そう思ったとき、すでに相手の意のままに被支配者になっている。父は暴力を用いて家族を支配した。特に母に対する虐待は度を超していた。暴力を受ける母はどうだっただろう。されるがままでいた。殴られ、蹴られ、顔に青あざを作りながらも耐えていた。母は宗教に救いを求めた。熱意の入れ方は尋常ではなかった。母は子供の俺と弟にも宗教の教えを説いた。集会や修行にも行かせた。有無を言わさずだった。 父はどうだっただろう。確かに暴力を振るい続けた。父と過ごす日々は恐怖の年月だった。しらふの父はおとなしく、日曜大工などをコツコツとするタイプでマメだった。酒が入った瞬間、人が変わる。鬼のような形相で家族を睨みつけ、突然、何か物を投げつける。大声で怒鳴る。殴りかかる。虐待は俺ら兄弟にも当然のように及んだ。押し入れに閉