空振り三振はよくても、見逃し三振はいけない-。これは防災対策の鉄則とされる。JR西日本は台風19号が近畿を直撃した10月13日、京阪神地区全24路線の運休に踏み切ったが、目立った台風被害はなく、しかも私鉄はほぼ平常通りに運行。空振りを恐れないJR西の判断には、是非をめぐって議論も起きた。もし全面運休が平日と重なれば大勢の帰宅困難者を出す恐れがあり、一層難しい判断を迫られそうだ。 「じくじたる思いで決断した」。JR西が全面運休を決定した10月12日、担当者の一人が打ち明けた。今夏の豪雨は広島市の土砂災害をはじめ、京都府福知山市などで大きな被害を出すなど自然災害が激甚化していることが決断を後押しした。 JR西は、防災対応を決めておく「タイムライン」(事前防災行動計画)を踏まえ、運休を前日に予告。利用客から「動かせる列車は動かして」と要望もあった。しかし、JR西の在来線は複数の路線に乗り入れるう