都会とは違う別の働き方があってもいい――。九州の北東端にぽっこりと突き出た国東(くにさき)半島の過疎化が進む小さな集落。ここで廃校になった小学校を社屋にする「アキ工作社」(大分県国東市)が週休3日制を始めたのは、2013年6月のことだ。その思いは、地域に広がった。 段ボール製の模型などを製造販売するアキ工作社は、米グーグル社や世界的ブランドへの納入実績もある従業員8人の会社だ。 営業を担当する森山長英(43)には、週末3日間の休み方に流儀がある。2日間は家族とゆっくり。残る1日は自社製品の売り場を見るため、各地を巡る。「客目線で回ると、各店の売り方から発見も多い」。かつて勤めていた大阪の会社では、終電帰りの毎日だった。いまは金曜を休んでも「営業的には機会損失は感じない」と言い切る。 「東京と国東では生き方も別々でいい。国東らしい豊かな生活ができるよう、ビジネスも組み立て直そうと考えた」と、