函館市の魅力といえば? 異国情緒あふれる歴史的建造物ですよね。ハリストス正教会や旧イギリス領事館など、どれも函館市にとって重要な観光資源です。旧ロシア領事館も、そのひとつ。一世紀以上の歴史がある由緒ある建物です。ところが、所有する函館市が、「民間事業者に売却する」と表明したことで、建物の保存と利活用を巡り、にわかに議論が起こっているのです。市にとって大切なはずの建物、なぜ売ってしまうのでしょうか。 “国の重要文化財に値する”函館山の麓の一角で、港を望む急な坂道を上ったところに、旧ロシア領事館は建っています。建設されたのは明治41年。赤いレンガと白いしっくいが印象的なレンガ造り2階建てで、ドイツ人の技師が設計しました。帝政ロシア時代の領事館としては、日本に唯一現存する建物で、玄関の上には日本風の「唐破風」が見られるなど、和洋折衷の工夫がうかがえる珍しい様式が取り入れられています。 中に入って