岸田文雄首相は10日、東京・虎ノ門のホテル「オークラ東京」に約1時間滞在した。首相周辺の説明によると用件は「秘書官との打ち合わせ」だったが、同ホテルには同時期、自民党の萩生田光一政調会長の車両もあった。 首相は自民党安倍派の政治資金パーティー疑惑を受けて、萩生田氏ら安倍派幹部を政府・党の要職から交…
軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、警視庁公安部が有識者から聞き取った内容と異なる聴取報告書を作成した疑いがあることが、捜査に協力した大学教授ら4人への取材で判明した。毎日新聞が入手した報告書を確認してもらったところ、4人全員が「一方的に作られたものだ」と証言した。 この報告書は経済産業省に提出され、同社の装置が「輸出規制品に該当する」と判断される材料となった。経産省は当初、輸出規制品と認めることに消極的だったとされる。複数の捜査関係者は取材に「経産省を説得するには、有識者の『お墨付き』が必要だった」「有識者をだます形で報告書は作られた」などと話していて、有識者の証言と符合している。
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、最大派閥の安倍派(清和政策研究会)が、所属議員とのパーティー券収入の受け渡しを現金で行うケースがあることが判明した。派閥から収入の一部のキックバック(還流)を受けたことのある議員の元秘書が、毎日新聞に証言した。記録が残る口座の振り込みを避ける狙いがあった可能性がある。 安倍派にはパーティー券収入の還流を受けていた所属議員が複数いるとされるが、東京地検特捜部が一部議員の秘書らから任意で事情を聴いたことも関係者への取材で判明した。刑事告発を受けている派閥の政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑の捜査の一環で、特捜部は秘書や会計担当者らの聴取内容を踏まえて議員本人への聴取の必要性を判断するとみられる。 派閥の政治資金パーティーには…
軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、東京地検が2021年7月、警視庁公安部に起訴取り消しの方針を伝えた際のやり取りを記録した警察の内部文書を毎日新聞が入手した。地検は、公安部が法令解釈を「意図的に、立件方向にねじ曲げた」と裁判官に捉えられるリスクがあると指摘し、公判を維持できないと通告していた。 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償訴訟を東京地裁に起こし、捜査に携わった現職の警視庁警部補が23年6月の証人尋問で、事件を「捏造(ねつぞう)」と証言する極めて異例の事態となっている。文書からは、地検が公安部の捜査を恣意(しい)的と疑って起訴判断を見直したことがうかがえる。
記者会見で「なぜ娘が自死に追い込まれたのか真実を知りたい」と涙ながら訴える女子生徒の両親=福島県郡山市で2023年12月4日、根本太一撮影 福島県立須賀川創英館高校に通っていた3年の女子生徒(当時17歳)が2022年4月に自殺した問題で、生徒の両親が4日、郡山市内で記者会見した。県教育委員会が設置した第三者委員会が8日に報告書をまとめるのを前に、「なぜ娘が追い込まれたのか、真実を知りたい」と涙ながらに訴えた。 生徒は、新学期開始間もない22年4月15日に亡くなった。両親は直後、県が開設している相談窓口に、生徒が「クラスにいづらい」などと送ったメールの書き込みを見つけたという。 0歳時に腸の一部を切除する手術をした際の家族の苦労話を知り、小学生で「看護師になる」夢を描いていた。中学の弁論大会では、生命の大切さを語り、高校ではスポーツ部活動のマネジャーとして青春を満喫していた。
建設中の大阪・関西万博会場とIR予定地=大阪市此花区の夢洲で2023年10月4日、本社ヘリから滝川大貴撮影 東京に駐在する外国メディア特派員らの目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、英国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第90回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、大阪・関西万博を巡る混乱に東京オリンピックを重ね合わせ、ある疑問を投げかける。 2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博を巡って、賛否両論が続いている。11月20日の衆院本会議で岸田文雄首相は、当初の1250億円から2350億円に膨れ上がった会場建設費に言及した。岸田首相は「さらなる増額は想定していない」と述べ、「無用な国民負担を生じさせることがないよう見直しに努める」と約束した。しかし、会場建設費の最終額や警備費用など、多くの支出項
依存症や非行少年の社会復帰や自立支援を手がける北九州市のNPO法人「プラネット」が運営する自立準備施設「アース」で、施設関係者が入居者の少年(16)に丸刈りを強要し、暴行を加えてけがをさせていたことが関係者への取材で判明した。保護者は福岡県警小倉北署に被害届を出した。施設側は毎日新聞の取材に「責任があるから施設を12月中に閉鎖する」としている。 関係者によると、少年は9月16日、他の入居者の万引きを止めなかったとの理由で、法人代表の息子から丸刈りにされた。少年は丸刈りに抵抗した際、男性に殴られたりブロック塀に後頭部を打ち付けられたりして、全治5日間のけがをした。 施設側は同18日、保護者に謝罪したが、「(少年が)悪いことをしたから」との説明を繰り返したといい、保護者は納得せず、被害届を出した。 複数の施設関係者によると、法人代表の息子は施設職員ではなく、入居者の一部が就労していた建設会社の
労働組合「スターバックスユニオンジャパン」結成について記者会見する川端蒼流さん(右)ら=東京都千代田区で2023年11月29日午後4時5分、藤沢美由紀撮影 スターバックスコーヒージャパンの店舗で働く従業員らが29日、労働組合「スターバックスユニオンジャパン」を結成したと発表した。同社従業員による労組結成は初めてとみられ、今後他社も含め全国のカフェで働く従業員に参加を呼び掛けていくという。 結成は11月1日付で、現在の組合員は3人。賃金の引き上げ▽人手不足の解消▽多様な性を表すバッジなどアクセサリーの着用許可▽レジへの椅子の設置▽留学後の復職制度の設立――などを同社に求めている。 結成メンバーの一人で、東京都内の店舗で正社員として働く川端蒼流(そうる)さん(23)は同社の障害者雇用制度で採用され、月給は手取り約16万円という。加入する「首都圏青年ユニオン」によると、今年7月に賃金引き上げなど
自見英子万博担当相は17日の衆院内閣委員会で、2025年大阪・関西万博の基本計画で想定する来場者数や参加国数について「達成したか否かをもって、万博が成功したか、失敗したかを判断するものではない」と述べた。 日本国際博覧会協会が20年に策定した基本計画では、来場者数2820万人、参加国150カ国と想定している。万博の効果を測定するための数値目標の設定については、「万博の意義が時代とともに変化している。一定の数値目標を掲げ、達成したかどうかで万博の成功、失敗を判断するものではない」と答弁した。 政府は毎年策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」などで、政策立案時に具体的な数値目標を定めることを重視している。 また、万博閉幕後に撤去し、木材として再利用する予定の木造建築物「大屋根(リング)」に関しては、「どのように活用するか、具体的なことが決まってはいない」と述べた。一部で大屋根として保存すべき
2019年10月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が名古屋市で開いたイベントであいさつする原田義昭元環境相。イベントには、教団の韓鶴子総裁も出席していた=教団運営サイト「Peace TV」より 自民党の原田義昭元環境相(79)が2023年6月、九州と韓国を結ぶ海底トンネルの建設を目指す「日韓トンネル実現九州連絡協議会」の会長代行に就任し、事実上のトップを務めていることが毎日新聞の取材で判明した。日韓トンネル構想は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が提唱したとされ、原田氏は選挙で教団に「世話になった」と恩義を口にした。【田中裕之】 「教団関係者が協議会に関与」 教団との親密な関係が度々指摘されてきた原田氏だが、政府は11月3日付で発表した23年秋の叙勲受章者に選んだ。「多年にわたり国会議員として議案審議の重責を果たし、環境大臣などとして国政の
パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘で、イスラエルのネタニヤフ首相が28日、戦いが「第2段階に入った」と述べた。今後、イスラエルの戦略はどう変わるのか。またイスラエルを一貫して支持してきた米国はどう出るのだろうか。 イスラエルを「完全支持」してきたが… パレスチナ自治区ガザ地区への激しい空爆で国際社会のイスラエルに対する反感が強まり、バイデン米政権はイスラエルの「完全支持」から態度を後退させている。イスラム組織ハマスを壊滅させるためにイスラエルが地上侵攻に踏み切るのはやむなしとの考えだが、民間人の犠牲が続けば米国も強い批判にさらされるのは必至で、苦しい立場に追い込まれている。 バイデン政権は「ハマスはイスラエルを破壊し、ユダヤ人の殺害を存在目的とするテロ組織だ」と強く非難してきた。そのため「イスラエルには、自衛のためにできることは何でもする権利と義務がある
全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士(左)と川井康雄弁護士=東京都中央区で2023年10月10日、内藤絵美撮影 政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求に踏み切るまでには、過去の被害を訴えた多くの元信者らの証言があった。30年以上にわたって、こうした元信者やその家族らの声に耳を傾け、返金交渉や脱会に尽力してきたのが、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士たちだ。金銭的な利益と無縁の「手弁当(無報酬)」で活動を続ける思いの裏にあるものとは――。 解散命令請求から1カ月ほど前の9月。渡辺博弁護士(70)=第二東京弁護士会=が所長を務める「田村町総合法律事務所」が、長年置かれていた東京・新橋から日本橋にある雑居ビルの一室に引っ越した。 渡辺さんは、1987年に結成された全国弁連の主要メンバーの一人だ。「教団関連の活動で忙しいと思われたのか、一般の依頼が減って…
旧統一教会への調査に関わる宗教法人審議会。手前に審議会の委員、奥に文部科学省幹部らが並ぶ=東京都千代田区の文化庁で2023年9月6日、前田梨里子撮影 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求を巡り、文部科学相の諮問機関「宗教法人審議会」の委員の一人が毎日新聞の取材に応じた。現政権が臨時国会や衆参補選を控えた時期に請求し、教団への毅然(きぜん)とした姿勢を示す狙いがあるとされることについて「解散命令は宗教法人に対する『死刑宣告』であり、請求は慎重な手続きを踏むべきだ」と指摘。請求自体は妥当との見解を示しつつ、「政治日程に左右されては困る」と政治的意図が絡むことに懸念を示した。 宗教法人審議会の委員が今回の解散請求を巡り、メディアに見解を明らかにするのは初めて。政府は12日に開く審議会の意見を聞いて、13日にも東京地裁に解散命令を請求する方針だ。 文科省の外局・文化庁は昨年11月、岸
県議会福祉保健医療委員会(委員12人)では反論が相次ぐ中、自民、公明県議7人の賛成で県虐待禁止条例改正案が可決された=さいたま市で2023年10月6日午後1時34分、岡礼子撮影 小学校3年生以下の子供の放置を禁止する埼玉県虐待禁止条例の改正案は13日、開会中の県議会9月定例会本会議で採決される。自宅での留守番や子供だけで公園で遊ぶことも放置と判断されるため、市民からは「生活実態とかけ離れている」などと反対の声が相次ぐ。一方、虐待防止の観点から賛成の声を上げる専門家もいた。県内の関係者に賛否を聞いた。 「極めて問題の多い改正案。『放置』の定義が過度に広範であいまいだ。子供の人格権も含め、憲法に抵触する恐れすらある」と厳しい声を上げたのは、子供の虐待や離婚問題に取り組んできた埼玉弁護士会所属の竪十萌子弁護士だ。
政府は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令について、13日にも東京地裁に請求する調整に入った。12日に文部科学相の諮問機関の宗教法人審議会を開き、解散請求に関する意見を聞いたうえで請求手続きに入る。複数の政府関係者が6日、明らかにした。 盛山正仁文科相は同日夜、岸田文雄首相と東京都内で会食後、記者団の取材に応じ、解散請求について「何も決まっていない。調整中だ」と述べた。 旧統一教会を巡っては、教団や関連団体と自民党議員との過去の接点が問題視されてきた。政府・与党は20日に臨時国会を召集する予定で、22日には衆参2補選の投開票も控える。臨時国会や補選投開票を前に、解散請求を実施することで、政権として毅然(きぜん)とした姿勢を示す狙いもある。
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