統計的推測における信頼区間は,どのような初等統計学の教科書にも説明されているにもかかわらず,議論の多い問題でもある.いくつかの参考書の記述を引用してみよう. 実務教育研究所(1994)「現代統計実務講座Ⅰ」p.266 このとき95%あるいは99%という確率を信頼率(信頼度ともいう)とよぶ.この信頼率は何をあらわしているのだろうか.真の値(母数)pは,この区間に入っているかいないかのいずれかである.したがって,ただ一つの標本から求めた信頼区間だけを考えるときには,95%や99%という確率は出てこない.このような無作為抽出を繰り返し行ない,そのたびに,前と同じ方式で信頼区間をつくるとすれば,推定値p^が変わることによって,その信頼区間の中点も,また,区間の幅も変わる.このような操作を無限に繰り返して無数の信頼区間を得るとすれば,そのうち真の値pを含むものの割合を示すのがこの信頼率である. 東京