「はい、大山自治会の佐藤です」と相談電話に応える。24時間受け付けること自体が住民の安心感につながると信じる(撮影:五十川満) 「あら、木村さん。風邪は、すっかりよくなったようね」 「ご心配かけましたが、なんとか生きてるわよ(笑)」 ママチャリですれ違いざま、高齢の女性たちの会話が始まる。ふたりの背後では、初夏の日差しのなか、団地内の公園で遊ぶ子供たちの声が響きわたっていた。 「また体調が悪くなったら、いつでも私の携帯に電話ちょうだい」 と、笑顔で70代の住民に声をかけたのは、東京都立川市にある大山団地「大山自治会」相談役の佐藤良子さん(82)。 大山団地は正式には都営上砂町一丁目アパートといい、26棟に1千400世帯・3千800人が暮らす。このマンモス団地がいま全国で注目されているのは、20年にわたり「孤独死ゼロ」を続けているからだ。 最初の東京オリンピックの前年の1963年に入居が始ま