『ヤァ! カタストロフィ・ウェイトレス』とイザベルの脱退を転機とした2000年代仕様のベルセバによるベルセバ自身の「解放運動」は、前作『ライフ・パースート』でいったん完成したと言っていい。そしてグラスゴーの曇り空を振り払い、オープンマインドなポップ・マイスターとして生きることを選んだ彼らの新モードの耐久性と正しさを告げるのが、この4年ぶりの新作である。プロデューサーは前作に引き続きトニー・ホッファー。万人に向けたポップ・ソングを作ると決めた彼らの音楽に、再び複雑な色合いが生まれている。しかし一度開いた心の扉はもう二度と閉じることはない。だから複雑ではあるけれど分かりやすく、むしろ楽しさを増している。S&G級のデュエット・ソング(“アイ・ウォント・ザ・ワールド~”)、潔くポッピーなシンセ(“カモン・シスター”)、脱思春期を告げてなお眩しく跳ねるギタポ(“ライト・アバウト・ラヴ”)、カリプソ風