〘 名詞 〙 わずかなことば。ちょっとした短いことば。片言隻句。片言隻辞。[初出の実例]「其活溌なる説話の片言隻語を洩さず之を収録して」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉序詞〈若林玵蔵〉) わずかなことば。ちょっとした短いことば。 [使用例] 笑いさざめいていた者も笑いをおさめ、寄り合っていた者も散じてしまう。その淋しさはたとえようもない。皆かい目もくことばが通ぜず、片言隻語も採集できずに、むなしく一日が暮れていくのである[金田一京助*北の人|1934] [使用例] 紙し魚みのように食いあさってわたり歩いてきた無数の本の片言隻語がつぎつぎと浮かんで、どこか一カ所を痛烈にえぐりたてるか、骨に錆さびついてくるかし、同時にまったくあべこべのことばが完全におなじ濃さと深さで食いこんできて私を駈かりたてにかかったり、静穏に誘ったりする[開高健*夏の闇|1971] [解説] 晋しん代の詩人