発達障害と定型発達の間を示す、“グレーゾーン”という言葉をご存じだろうか。「普通」でも「障害」でもない、名前のつかない“生きづらさ”を抱えながら、周囲と同じ振る舞いができずに悩み続けている人たちがいる。(取材・文=松本玲子) “かろうじてできる”という悩み 昨今、注目を集めている「グレーゾーン」とは、発達障害の「傾向がある」とは認められても、確定診断が下りない状態を指す言葉だ。グレーゾーンを生きる人の大半は、周囲が期待する言動が“できない”のではなく、“かろうじてできる”自分を維持しようと努力を続けているという。 そもそも、なぜクロでもシロでもなくグレーなのか。それは、発達障害(クロ)と定型発達(シロ)がグラデーション状につながっているからだ。どこからがクロで、どこからがシロなのかという判断基準が極めて曖昧なため、どちらともいえないグレーゾーンで生きづらさを感じている人は多い。 具体的に、