安倍政権は日本からの武器禁輸を緩和し、米国だけではなく、他の国々、特に欧州諸国との共同開発を進めようとしている。すでにオーストラリアへの潜水艦の売り込みなどは大きく報じられており、重大な国民の関心事だろう。今後の日本経済を支える重要産業のひとつとして期待する声も高まっている。 だが、掛け声どおりに進まない可能性がある。わが国の防衛装備調達がいまだに米国偏重であること、防衛省の競争入札が不透明であること、首相官邸、防衛省、経産省などに防衛航空宇宙産業を振興するグランドデザインと戦略が欠如していることから、欧州各国の信用を失いつつあるのだ。 9月、空自の新型空中給油機の入札から、エアバスが辞退した。この空中給油機にはボーイング社が提案する米空軍と同じKC-46Aと、エアバスが提案する330MRTTの2機種が候補に挙がっていたが、エアバスが入札に参加しない意向を固めたため、KC-46Aの採用が事