バブル崩壊以降に続いた経済の停滞、いわゆる失われた20年によって、仕事と生活のバランスは大きく崩れ、それはいま格差の問題として拡がっています。これに少子高齢化などの問題も加わり、時代の先行きはますます不透明さを増している状況です。そうした政治的な危機感から生まれたのが政府の「一億総活躍社会」のビジョンであり、その実現の柱として、同一労働同一賃金や長時間労働の是正などをめざした働き方改革に対する政労使一体となった取り組みがスタートしました。働き方改革実現会議の全容について、慶應義塾大学の樋口美雄教授に聞きました。 働き方改革実現会議の一つの背景日本における労働環境の整備という観点では、賃金をはじめ、労働時間なども含めた働き方についてこれまで多くの取り組みがなされてきました。しかし、それらは個別の企業における労使が自主的に決定するものという考え方が非常に強く、その結果、政府が介入するようなこと