厚生労働省が公表している「毎月勤労統計」で一部の調査が本来と違う手法で行われていた問題で、根本匠厚生労働相は8日、閣議後の記者会見で不適切な調査が実施されていたことを認め、関係する部局に「事実関係を徹底的に調査するように指示を出した」と述べた。 根本氏は不適切な調査が行われていた事実を厚労省の事務方から報告を受けたのは昨年12月20日だったと説明した。その翌日の21日には毎月勤労統計の10月分の確報が公表されているが、調査手法の誤りについては触れられていない。根本氏が問題を把握した時点から20日間にわたり公表しなかったことになる。今後、公表のあり方についても問題点を指摘されそうだ。 いつから、どのような経緯でこうした調査が行われるようになったかについて、根本氏は「調査中」との回答を繰り返した。 この統計は、賃金や労働時間…
働き方改革が後退しないか心配だ。労働時間規制に縛られずに働け、職務や成果をもとに報酬が決まる「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」の対象者が、より限定的になるからだ。生産性向上を後押しする制度ができるのは前進だが、働き手や企業の使い勝手が悪ければ意味は薄れる。日本の労働生産性は主要7カ国で最も低く、引き上げは急務だ。制度設計にあたる厚生労働省は危機感を持ってもらいたい。厚労相の諮問機
通常国会が始まり、労働基準法の改正案について論戦がなされている。そんな中で、まだまだ注目されていないのが、裁量労働制の拡大である。 年収1075万円の労働者を対象として残業代の支払いをしなくなるという「高度プロフェッショナル制度」ばかりがメディアにも取り上げられがちだが、それと同時に導入されようとしており、むしろより危険性が高いのが、やはり残業代を支払わなくてよくなる裁量労働制の拡大である。 裁量労働制については、制度上、どこにも年収の規定がない。ほんらい、この制度は専門的な能力や知識・経験を持つ労働者に対して、働き方に裁量があることを理由として、労使で決めた「みなし労働時間」以上働いても、残業代の支払いをしなくなる制度である。だとすれば、その条件に見合った「対価」を支払うことは当然である。 ところが、裁量労働制の実例を見ていくと、そんな「対価」とは程遠い実態が見えてくる。そればかりか、最
日本は幸い未だ個人が自由に発言できる国である。しかし、国民自ら自由な発言を止めれば、その自由もいずれ失われる。社会的権利は不断の行使によってのみ維持できるからである。その意識もあり以下の発言は政治に対し辛口だが、これはあくまで個人責任における発言である。筆者はRIETIでEBPM関係のプロジェクトの主査でもあるが、国際的に発言の場を持つ一個人として発信している。 PBEMという言葉を初めて知った。2018年1号の『医療経済研究』の鈴木亘氏の「EBPMに対する温度差の意味するところ」と題した巻頭言にこの言葉が出てきたのである。EBPMとPBEM、EとPをひっくり返した言葉だがその意味するところは天と地ほどに異なる。EBPMは勿論Evidence Based Policy Makingで、これは英語でも通じる。一方米国では聞いたことがない、和製英語の簡略形と見られる、PBEMはPolicy B
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