感染症はなによりもまず検査が重要だ。検査、隔離、診断、治療、この4層体制が最初からつながっていないことが日本の新型コロナウイルス対応の最大の失敗だ。 無症状者をふまえた検査体制がない ダイヤモンド・プリンセス号の問題で、陽性になっても全く症状が出ない人が一定程度いることが明らかになった。インフルエンザなどで経験してきたこれまでの常識を変えるものだった。ところが、無症状者の存在をふまえた検査体制はその後も全く取られなかった。 医療には「エビデンス・ベースド・メディスン」という言葉がある。証拠(データ)に基づいた医療という意味だ。ところが現在の政府のコロナ対策には、基礎となるデータが全く不十分だ。無症状者の把握も含めた広範な社会的検査をすることではじめて、対策の基礎となるデータが得られる。 緊急事態宣言などで人の行動を縛ることにばかり意識が向き、感染症を扱う基礎が作られなかった。緊急事態宣言か