新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、世界のあり方が大きく変わった。このパンデミックは、たんにウイルスが新型であったために甚大な被害を引き起こした結果ではなく、人間-動物-ウイルスの生態系の相互作用から生じたものであり、とりわけ都市化とグローバリゼーションの帰結という側面が強い。ここでは、このパンデミックを、感染症予防を中心主題とする「リスクパニック」として分析する視座を提案し、特に日本のクラスター対策に対して批判的に検討した。さらに、リスクパニック後に定着していくと思われる監視の様相を、デジタル化・リアルタイム化した「モニタリング監視」として特徴付け、パンデミック後も持続する「感染症社会」へ向けての展望を探った。