昨年、内閣府の少子化危機突破タスクフォースでの「生命と女性の手帳」(仮称)は、国民的議論に発展した。人の生殖に関する知識の啓発の観点から、個人のメディカルヒストリーを標すようなノートがあってもよいのではないかとの発想から生まれたが、「産むか産まないかに国が口を出すのか」「個人の生き方への介入に繋がりかねない」などの批判が相次いだ。妊娠・出産に関わる意思決定、すなわち子どもを産むのか産まないのか、いつ産むのかといった判断については、当事者である男女が自らの意思で決定すべき事柄であることは自明の理である。 一方で、女性の生殖機能には適齢期があり、子どもをどう持つか、どのように育ててゆくか、さらに女性のトータルライフを考える上で、女性のからだがどのように変化してゆくのかといった情報はこれまで与えられてこなかった。そのため早く結婚して子どもを産みなさいとだけ女性に訴えても、その必要性や重要性が理解