『タクシードライバー』という映画が好きである。初見の頃から変わらずにずっと好きだ。かなりの回数を観ているが、それはぼくだけではないだろう。 実はいろいろあってぼくもトラビスと同じような状況にいた。しかし、その鬱屈した感情は爆発するわけではなく、内にこもり続け、北野武よろしく「死にたい」という破滅願望に変わっていた。当然ながらそんなことできる勇気などなく、つねに引きこもり、一日中延々と映画を見続けていた十代だった。 「ぼくに比べればトラビスは不眠症を仕事に活かしていていいじゃないか、金だってたんまりあるし、女に声もかけれるし」と当時は思っていたものだが、何度も観ていく内にトラビスは移動中も部屋に帰っても、ポルノを観ていてもつねに孤独だということに気づいた。そして目に映るものといえば、この世のクズばかり。深夜にドンキにいっただけでイライラしてしまうぼくにとっては地獄のような毎日だろうと思うよう