山形浩生さんが訳しておられたので読んでみた。1971年の古典といっていいのかどうかわからない微妙な時代に出されたものの、再訳となるらしい。著者のB・F・スキナーは行動心理学の開祖ということで、そうした前提情報を何も知らずに読み始めたのがこれがなかなかの快著だ。考え方の根底が原理的で、さまざまな問題に応用することができる発想を中にためこんでいる。 スキナーが本書で繰り返し語るのは、行動の原因を自律的な内なる人──心に求めるのをやめて、実際に起こっていること、つまり行動と環境との関係を直接見るべきであるといったことだ。性的行為への処罰は性的なふるまいを変える。人が苦しむとしたらそれは内的な感情から苦しんでいるのではなく事故や犯罪や戦争や仕事がうまくいかないとか怒られるかもしれないとか、そうした周囲の環境の副産物として起こる。『生じるかもしれない感情は何であれ、せいぜいが副産物でしかない。』 こ