新連載の本コラム「ビジネスを考える目」は、コンサルタントの鈴木 貴博氏(百年コンサルティング 代表取締役)。鈴木氏が、日常生活 や仕事の場面で気づいたちょっとした「ビジネスのヒント」を毎週紹 介してもらう。携帯電話からユニクロまで、「消費者」と「ビジネス」 のちょうど中間に立った視点で、日本のビジネスをじっと見つめて、 考えるコラム。 「壊れ窓」がないと、窓が割れなくて困る 「壊れ窓の理論」というものがある。 これは、1983年3月、米国の犯罪学者ジェイムズ・Q・ウイルソンとジョージ・L・ケリングが紹介した理論である。内容は、誰も住んでいないアパートで割れたままの窓を放置しておくと、その近所では犯罪が増加するという考え方である。通りがかった不特定の人間の心に「その窓が割れていても、建物の所有者や地域住民など誰も気にしないようだから、他の窓も割ってもいい」と考える気持ちが芽生える。そうしてど