ゼネラルモーターズ(GM)、ポルシェと渡り歩き、世界の名だたる名車のデザインを手がけてきた奥山。現在は、イタリアの名門デザインスタジオ、ピニンファリーナ社に籍を置いている。世界中のメーカーから新車のデザインの依頼が殺到する「世界最高峰」のもの作りの現場だ。 奥山はそこで、デザイン部門の最高責任者・デザインディレクターをつとめる。部下のデザイナーたちは世界各国から集まったエリートぞろい。個性とプライドという牙を持った「猛獣」たちだ。時には奥山のいうことも聞かず、仲間同士ですぐにケンカを始めるほどのどう猛さ。しかし人をひきつけるデザインを生み出すには、そのくらいの個性とアクが必要だと奥山は考えている。 奥山は、その猛獣たちをうまく使って、新たなデザインを生み出していく。まさに「猛獣使い」だ。 奥山は、必ず一つのプロジェクトに複数のデザイナーを関わらせ、コンペの要領で競争させる。最後に採用さ