【ソウル=吉田敏行】歴史問題などで日本との関係が冷え込む韓国で、日本統治時代(1910〜45年)を一部評価する教科書が今年初めて教科書検定を通過し、歴史観を巡る論争を巻き起こしている。 問題の教科書は、韓国の出版社「教学社」の高校用韓国史。「ニューライト」(新保守派)の知識人で、新しい教科書をつくる運動を続けてきた公州大の李明煕教授ら6人が執筆した。8月末、教育相の委託で教科書検定にあたる国史編さん委員会が合格とした。 しかし、合格した他の7冊とは異なり、日本統治時代を経済発展や規律改善などの面で一部評価したことや、左派が「親日政治家」と批判する歴代大統領の業績を肯定的に記述していることから、野党・民主党や市民団体が検定結果の撤回を求めている。 新保守派は、2005年、市民団体「ニューライト全国連合」が結成されたのがきっかけ。「偏った歴史観の是正」を掲げ、1年間で全国に約11万人の会